復職面談では何を聞かれる? 失敗しないよう押さえておきたいポイントを紹介
うつ病や適応障害などメンタルヘルス不調により休職に至った人も、「復職したい」と思う日がやってきます。職場復帰の事前段階としておこなわれるのが“復職面談”です。休職者本人だけでなく、産業医や人事労務担当者など職場側も関わる復職面談は、休職者にとって不安が高まるものです。
復職面談では何を聞かれ、どのように答えれば、スムーズに復職できるのでしょうか。今回のコラムでは、自信を持って復職面談に臨むためのポイントを紹介します。
うつ病や適応障害などメンタルヘルス不調により休職に至った人も、「復職したい」と思う日がやってきます。職場復帰の事前段階としておこなわれるのが“復職面談”です。休職者本人だけでなく、産業医や人事労務担当者など職場側も関わる復職面談は、休職者にとって不安が高まるものです。
復職面談では何を聞かれ、どのように答えれば、スムーズに復職できるのでしょうか。今回のコラムでは、自信を持って復職面談に臨むためのポイントを紹介します。
目次
復職を前にしたあなたは「何を聞かれるのだろう」、「どう答えたら、正解なのだろう」と不安を抱えて面談に臨んでいることでしょう。
産業医に人事担当者や上司、とずらりと囲まれると、面談される側はそれだけで圧倒されるものです。
久しぶりの職場の空気に緊張感を覚え、少しのことでも過敏に反応してしまうかもしれません。怖い・不安と感じる気持ちがあっても、それは自然な感情です。
まるで試験を受けさせられているような気分になるかもしれませんが、まずは肩の力を抜いて、自然体で臨みましょう。
会社側も意地悪で復職面談をするのではありません。当然、目的があり、聞きたいことがあるから面談をします。
では、復職面談の目的は何なのでしょうか。大きく分けて二つ考えられます。
復職可否の判断
復職後の職場環境の検討、調整
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
復職可否の判断は、休職者が職場復帰できるかを見極めるのが目的です。
特にメンタルヘルス不調により休職した場合、心身の調子を見極めるのが難しく、会社が求める水準まで回復しているかどうか慎重に判断しなければなりません。
主治医が「復職可」の診断を出しても、それは「日常生活を送るうえで問題なし」というレベルであり、業務を遂行するまでは回復していないという状態が考えられます。
十分に仕事ができるまで回復していないまま復職となると、当然再発のリスクも上がるわけですから、復職面談では慎重に判断されるポイントの一つです。
復職後の職場環境は、原則、配属されていた職場で復帰が望ましいと言われています。復職直後、職場環境が変わることにより、新しい人間関係などでストレスを感じないようにするためです。
ただし、あくまで原則であって、休職の原因が職場環境にあるときなどは部署を異動しての職場復帰が適切な場合もあります。
また、復職直後の勤務時間や、業務量、業務の負荷といった仕事に関する条件も大切です。復帰直後は業務遂行能力も休職前より低下しています。休職前と同じように働ける、と考えていたら、思うように頭も体も動かなかったということがあります。
この点でも、最初は無理をせずに、できることから始めていくように、会社側は復帰直後の環境を検討し、調整するわけです。
会社が復職面談をおこなう目的がわかったところで、具体的にどのような質問が想定されるか見ていきましょう。
産業医を始めとする、復職にかかわる人々が気にかけるポイントは以下のようなものです。
現在の体調
生活リズム
休職要因と再発防止策
現在の体調というのは、受診状況を含めたあなたの状態についてです。
就労意欲は十分でしょうか。「まだ働くのがしんどい」と感じられるようなら、職場復帰は早いかもしれません。焦りを感じるかもしれませんが、しっかりと療養し、就労意欲が湧いてくるのを待ちましょう。
通勤に耐えうるだけの体力は回復していますか?職場復帰した人が予想外だったということに、通勤や勤務のつらさがあります。休職後は想像しているより体力や判断力、集中力が低下しています。週5日勤務しただけでへとへとになる、という話も聞かれます。
その日の疲れを翌日まで持ち越さず、休日には外出などできていますか。
休職中の段階で、これくらいの回復状態でないと、復職したときにしんどいと感じるかもしれません。
無理のない復職のために、会社に配慮を依頼し、時短勤務などから始めることも可能な場合があります。そのためにも、面談前2週間程度の体調は自分でもよく観察しておき、面談で伝えられるようにしておきましょう。
生活リズムも、あなたの体調を把握するうえでわかりやすい目安になります。
規則正しい睡眠は取れているか。休職中は生活リズムが乱れがちで、昼夜逆転の生活になっていないでしょうか。
復職したら、毎日決まった時間に出勤しなければならないわけですから、朝決まった時間に起床し、朝食をとる、という生活習慣はささやかなことに見えて、とても重要です。
メンタルヘルス不調の場合、午前中は調子がよくない人も多いので、自分の体調の波にも留意しておくといいでしょう。1日をどのように過ごしているかを会社側に提示することは、復職に向けての大きなアピールになります。
そのために、リワークセンターでは生活記録表(活動記録表)というツールを使用しています。1日の何時にどんな活動をしたか、どんな風に過ごしたかを記入するものです。
たとえば午前6時起床、7時ウォーキング、9時からは近所の図書館で読書、などです。
こうして1日の行動を見える化することで、あなたがその時間、どのような活動ができているか一目瞭然になります。
会社はあなたが、仕事ができるほど回復しているかを知りたいわけなので、生活記録表のような実績は説得力を持って見てもらえるでしょう。できれば、復職前の2週間程度は生活記録表を記入しておきましょう。
重要なのが休職要因と再発防止策です。あなたがなぜメンタルヘルス不調を来たしたのか、その要因について客観的に振り返られていることが大切です。
あなたが不調を来したときの状況を思い出してみましょう。もしかしたら、業務量が多すぎて、一人では処理しきれなかったのかもしれません。上司や同僚と人間関係上のトラブルを抱えてストレスを感じていたのかもしれません。
その問題は解決しているのか、もしくは、対処法を身につけたかが重要です。なぜなら、職場で同じ状況に再び陥ったとき、あなたはどうなるでしょうか。
ストレスを強く感じ、再び不調を来たしては元も子もありません。ストレスの原因を知り、それにどのように対処すれば良いのか方法を身につけておくことがあなた自身を守ることになります。
会社側としても、自己分析ができている復職者には安心できるものです。
「私はこのような状況でストレスを感じやすいですが、ストレスに対応するために対処法(ストレスコーピング)を身につけました。いざというときには、この対処法を実践したいと思います。」
このような返事ができればベストではないでしょうか。
休職要因の振り返りを一人でおこなうのは難しい場合も多いです。復職支援プログラムを実施しているリワークセンターなども活用してみましょう。
リワークセンターでは、ストレスの原因や対処法を考える無料体験会を定期的に開催しています。
「ひとりで自己分析するのが苦手」
「他の方の考え方も知りたい」
「同じような悩みを抱えている方と共有し合いたい」
このような方々におすすめのプログラム体験会です。
開催エリアなど詳しくは、イベント情報をご覧ください。
主治医はあなたが不調を来たしたときに頼れるメンタルヘルスの専門医です。話を聞いてもらったり、薬を出してもらうのは主治医からです。
休職、復職に関する診断書に意見をくれるのも主治医で、主に医学的見地からあなたの回復具合をみてくれます。
一方で産業医は、会社にいる医師を言い、主に業務の視点からあなたを診断してくれます。
復職面談に同席するのは産業医です。あなたの話を聞き、あなたが復職するにあたり環境を整えるための助言をしてくれるのが産業医の役割です。
先に伝えたように、主治医は「日常生活を送ることができるレベル」で回復具合を判断しますが、産業医は業務という観点で判断します。「業務を遂行できるレベルまで回復しているか」で判断しますので、主治医と産業医の判断にズレが生じることもあります。
「業務を遂行できるレベルまで回復していない」と判断された場合、あなたは休職延長を勧められるかもしれません。
主治医、産業医、双方から職場復帰して問題ないとお墨付きをもらうためには、しっかりと療養し、十分に回復したうえで、医師や人事労務担当者にも納得のいく実績を作ることが大切でしょう。
復職面談の中身についてわからないから不安も募るのかもしれません。事前に準備ができていれば、不安や怖さも軽減することでしょう。
今回のコラムでは生活記録表や、ストレスの対処法(ストレスコーピング)と言った、休職中にできる復職に向けての準備を紹介しました。これらを準備すること自体、回復に役立ちますし、ぜひとも取り組んでみてください。
また、これらの準備をしっかりおこなっている姿勢は、会社側にあなたの復職への意欲をアピールすることになります。成果物をしっかり提示し、就労意欲を見せましょう。
説得力のある面談にするために、事前に予行演習をしておくのも有効です。
リワークセンターでは、復職面談に関するアドバイスもおこなっています。このような機関を活用し、準備を整えておくと、なお自信がつくかもしれません。
無料相談をご希望の方は、こちらの相談予約フォームよりお問い合わせください。
※コラム中の画像は全てイメージです
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