マインドフルネスってどんなもの?
マインドフルネスは“今、この瞬間”に起きている体験に意識を向ける心のプロセスです。瞑想などのトレーニングを通じて実践することができますが、現代の日本では、瞑想という言葉に少し馴染めないかもしれません。マインドフルネスはストレスを緩和するプログラムとして開発された臨床的な技法です。うつ病の症状緩和や、ストレス軽減などの科学的なエビデンスも報告されています。
また、ビジネスの世界にも取り入れられ、集中力やパフォーマンスを挙げるメソッドとして活用されていることでも話題になっています。こうしてみると、マインドフルネスは私たちにとって身近なもので、取り入れることでメリットを得られるように思われます。
マインドフルネスから得られるメリット
マインドフルネスを臨床的な技法として確立したのはマサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジンです。彼は慢性疾患を抱える患者のためにマインドフルネスストレス低減法(MBSR)というプログラムを開発しました。MBSRからさらに発展させられたのがマインドフルネス認知療法(MBCT)です。MBCTは認知療法のひとつであり、うつ病の再発予防効果が高いプログラムと言われています。
現在はうつ病の再発予防はもちろん、不安障害などのメンタルヘルスの不調にも適応されています。それ以外にも、ポジティブな感情を増加し、ネガティブな感情を低減するなどの効果があると言われ、幅広い領域で活用されています。
マインドフルネスのポイント
では、このマインドフルネス、どういうところがポイントなのでしょうか。マインドフルネスを実践するにあたり、重要な考え方を説明します。
抑うつ的な気分のときは、私たちはよくない未来ばかりを考え、過去の失敗ばかりを振り返ってしまいます。逆に気分がよいときは、未来は明るく感じられ、過去にとらわれずに済むでしょう。このように、気分と考えは連動しており、さらには行動とも関係しています。
しかし、ここで大切なのは常に明るい気分でいようとしたり、無理に憂うつな気分を遠ざけようとしたりしない、ということです。今の自分を悲観して過去の失敗ばかり考えてしまうのも、かつてよかったころの自分を振り返り、思い出に浸るのも同じです。このようなあり方は、結局のところ、どちらも“今”ではないどこかに意識が向いている状態と言えます。いずれにしても、 “今”を見ていないのと同じだからです。
マインドフルネスにおいて重要なのは、
今この瞬間に心を向ける
判断を加えない(評価をしない)
ということです。
マインドフルネスが目指しているのは、あえてポジティブになることでもなく、ありのままの自分を受け入れるということです。それには、まさに“今この瞬間”浮かんでいる思考や触れた感覚、想起されるイメージなど、これらをありのまま受け止めることが重要です。思い浮かんだことにポジティブ、ネガティブな評価をつける必要もありません。ただ、あるがままを受容し、観察するだけにとどめておけばよいのです。「ただそれだけ?」と思う人もいるかもしれませんが、これが案外難しいかもしれません。もし、関心を持った人がいるようならば、一度試してみるとよいでしょう。
マインドフルネスの実践法
思い浮かんだことをありのままに受けとめる、と言われてもなかなかイメージしづらいかもしれません。マインドフルネスにはさまざまなエクササイズがありますが、比較的イメージしやすい葉っぱのエクササイズを紹介したいと思います。
あなたは河原に座っており、目の前の川を眺めています。川の流れはゆったりとしており、葉っぱが下流へと流れていくのが見えます。この光景をイメージしながら、あなたは浮かんでくる考えや感情に注意をむけます。その考えや感情を一つひとつ葉っぱの上に載せていきます。いろいろな考えが思い浮かぶかもしれませんが、あなたはただ、考えを載せた葉っぱが川を流れていくのを眺めていればよいでしょう。
本格的なマインドフルネスは専門家の指導の下でおこなうのが好ましいですが、一人ででも実践できるものがあります。葉っぱのエクササイズはそのうちの一つです。わずかな時間ででも実践できますので、一度試してみてください。大切なのは継続することです。長く続けることで効果を得ることができます。