SST(ソーシャルスキル・トレーニング)とは? -社会生活をスムーズに送る-

SSTとはソーシャルスキル・トレーニングの略語です。精神科領域から始まり、現在は教育、就労支援関連、職場のメンタルヘルスなど、幅広い領域でおこなわれています。では、ソーシャルスキルとはどのようなものでしょうか。

今回はその内容やソーシャルスキルを身につけるメリットについて紹介します。

  • ソーシャルスキルとは対人関係や社会生活を円滑にするためのスキル

    ソーシャルスキルとは対人関係や社会生活を円滑にするためのスキル

    ソーシャルスキルとは社会のなかで生活していくスキルのことで、代表的なものではコミュニケーション能力が挙げられます。

    社会のなかで生活していくと、他者とのかかわりは欠かすことができません。

    たとえば、電話一つかけるのにもさまざまなスキルが必要です。
    今、相手に電話をかけてよさそうな時間帯なのか、相手に頼みごとをする表現の仕方とか、伝言を頼む場合には何を言えばいいのか、など、多くのスキルが考えられます。

    このようなスキルにつまずきや苦手意識を覚えていると、職場においてストレスを感じることも多いでしょう。

     

    実際に、うまくコミュニケーションをとることができず、対人関係のトラブルに発展することもありえます。メンタルヘルスの側面から考えても、このような事態はできれば避けたいものです。

  • SSTって誰でもできるの?

    ソーシャルスキル・トレーニング、つまり、ソーシャルスキルを磨くことは子どもから大人まで幅広く取り組むことができます。

    「自分は昔からコミュニケーションが得意でなかった」としり込みしてしまう人もいるかもしれませんが、ロールプレイやディベート、ゲームなどを通じて、身につけることを目指せます。

     

    先に挙げた電話の例のように特定の場面を設定し、生じやすいコミュニケーションを習得しておくこともSSTと言えるでしょう。

     

    電話を掛けるときには、相手の迷惑にならなさそうな時間帯にする(早朝・深夜・仕事中などは避ける)
    相手に依頼をするときには、“クッション言葉”を使う
    電話で伝言を頼む際には、自分の名前や所属、連絡先を伝えておく

     

    このようなコミュニケーションのスキルを身につけるだけで、対人関係は円滑になります。
    SSTは大人にとっても十分有用な訓練です。苦手意識を持っている分野だからこそ、積極的に参加するとよいでしょう。

  • SSTを受けるメリット

    SSTを受けるメリット

    日常生活では、家族や友人、職場の同僚や上司など、コミュニケーションが必要な場面がとても多いです。

    自分の気持ちをうまく伝えられず、断るのが下手、などという人は、自分のキャパシティを超えても「No」が言えず、ストレスを溜めてしまうかもしれません。
    このようなとき、SSTで学ぶことで、これまで苦手であったとしても、断るスキルを身につけられるかもしれません。

     

    また、ソーシャルスキルを身につけるメリットはストレスを溜めないことだけではありません。
    ソーシャルスキルにはコミュニケーション以外のメリットとして、服薬管理が挙げられます。

    これは自分の病気や薬についての理解を深め、治療の重要性を学ぶものです。さらには、治療者に、自分から症状や薬について尋ねられることを目指します。そうすることで、主体的に自分の治療に関われることを目標とします。

     

  • まとめ

    ソーシャルスキルの高さに自信がある人は、実のところ、少ないのではないでしょうか。例に挙げたコミュニケーションのスキルに関しても、多くの人が自信を持てずにいるかもしれません。

    トレーニングでスキルを磨くことで、自信を持つことができたならば、ストレス低減につながるでしょう。
    また、実際にコミュニケーションスキルを磨くことで、減らせるトラブルもあるでしょう。

    最初から、誰もが高いソーシャルスキルを持っているわけではありません。自信がないと感じる方は気軽にご相談ください。

     

    ※コラム中の画像は全てイメージです

執筆:コラム編集部
執筆:コラム編集部
医療・福祉分野で主に障害のある方の支援を10年以上従事。これまでの経験とノウハウを活かし、さまざまな事情から不調になり休職したり、働けなくなったりした方向けに、復職や就職などの“働く”をテーマに少しでも役立つ情報を執筆。
監修:藤澤 佳澄
監修:藤澤 佳澄
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程単位取得退学。大阪大学非常勤講師をはじめ、各種教育機関で教鞭をとる。 メンタルクリニックにて十年弱心理職として従事。「体験型ワークで学ぶ教育相談」(大阪大学出版会)一部執筆。現在は特定非営利活動法人Rodinaの研究所にて、リワークを広く知ってもらうための研究や活動をおこなう。