多くの人に効果的な認知行動療法。ただし、今の自分の状態は要チェック

2024/8/5 最終更新

認知行動療法はうつ病や適応障害など、さまざまな症例に効果があるといわれています。

適用できる症状の幅は広くても、「人によって向き・不向きがあるんじゃない?」、「私の症状にも効果はあるの? 悪化したりしないか心配……」など、個人差についても気になるところですよね。

認知行動療法に興味があるけど自分には向いているのか、迷っている方は最後まで読んでみてくださいね。

  • 認知行動療法に‘’向かない人‘’ではなく、‘’向かない状態の人‘’

    認知行動療法に‘’向かない人‘’ではなく、‘’向かない状態の人‘’

    結論からいうと、認知行動療法は多くの人に効果をあげていることがわかっています。

    ただし、一過的に向かない状態になっている人はいます。

    性格や資質の問題ではなく、状況やタイミングの問題なのです。

     

    認知行動療法は、日常の出来ごとを今よりもう少しうまくいくように、ものごとの捉え方や行動を変えていきます。

    変えるものごとには、些細なことも含まれるでしょう。

     

    思い返してみて欲しいのですが、これまでも日常を良くするために、さまざまなことを変えてきませんでしたか? 

    極端にいうと、大人になった今、小学生のときと全く同じ生活をしている人はいないはずです。

    これまでにも少しずつ、トライアンドエラーを繰り返してきたはずです。    

     

    認知行動療法ではそれと似たような日々の積み重ねによって認知と行動を変化させていきます。

    これまで誰もがやってきたことの延長ともいえるのです。

     

    では、今認知行動療法に向かないのはどのような状態の人でしょうか。

     

    現在精神が不安定で、調子が悪い

    今は自分を変えたくないと思っている

     

    このような状態の人には向きませんが、永続的に続くわけではありません。

    今、一時的に向かない状態になっているだけです。

  • 現在、精神が不安定で、調子が悪い人

    現在、精神が不安定で、調子が悪い人

    「休職して不安だ」、「何か始めないと」など不安や焦りが強いときや、「死んでしまいたい」などつらい気持ちがあるときには認知行動療法のメリットをうまく享受できません。

     

    認知行動療法には ‘’認知 = 自分の考え方の癖‘’ を客観視することが必要です。

    自分の考え方の癖を見つけて「他の考え方はないかな?」と探していくことで進めていきます。

     

    しかし、精神の状態が不安定だと客観視することがとても難しくなります。

     

    考え方の癖を見つけた時点で、「なんてダメな考え方なんだ……」と否定してしまったり、そもそも「考え方の癖なんてない」と思い込んでしまったり。なかなか治療が進んでいきません。    

     

    精神状態を先に安定させたほうが認知行動療法の効果も高く感じることができるでしょう。

    まずは睡眠や食生活の改善を図り、心身の調子を整えることを優先させましょう。

     

    睡眠については過去にもご紹介していますので、興味があれば『正しい睡眠のとり方 ~心身の調子を整えるために~』も読んでみてください。

  • 現在の状態を変えたくないと思っている人

    現在の状態を変えたくないと思っている人

    認知行動療法は現在とは違う考え方を自分に定着させていく方法です。

     

    そのため、現在の考え方を変えたくないと思っている人には向きません。

    さらにいうと、自分主体になって変えていくという覚悟がない人にも向きません。

    もちろん、これらも一過的な気持ちの部分もあるでしょう。

    また、「変えたいけど変えられない」、「やる気が起きない」と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

     

    そんな方は『休職中の過ごし方「何もする気にもなれない」の悪循環。どうすればいい?』も読んでみてくださいね。

  • まとめ

    認知行動療法は多くの人に効果的な心理療法です。しかし、向かない状態になっている人はいらっしゃいます。

    もしも、今認知行動療法に向かない状態だったとしても、焦ることはありません。

    そのような状態は一過性のものだからです。 まずは生活習慣を整えるなど、できることから始めていきましょう。

     

     

    ※コラム中の画像は全てイメージです

     

     

     

    参考:発達障害への心理的サポート、アダルトチルドレンへの支援などを専門としたカウンセリングルーム|心理オフィスK

執筆:コラム編集部
執筆:コラム編集部
医療・福祉分野で主に障害のある方の支援を10年以上従事。これまでの経験とノウハウを活かし、さまざまな事情から不調になり休職したり、働けなくなったりした方向けに、復職や就職などの“働く”をテーマに少しでも役立つ情報を執筆。
監修:藤澤 佳澄
監修:藤澤 佳澄
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程単位取得退学。大阪大学非常勤講師をはじめ、各種教育機関で教鞭をとる。 メンタルクリニックにて十年弱心理職として従事。「体験型ワークで学ぶ教育相談」(大阪大学出版会)一部執筆。現在は特定非営利活動法人Rodinaの研究所にて、リワークを広く知ってもらうための研究や活動をおこなう。