では、具体的に、カウンセリングではどのようなことがおこなわれるかご紹介しましょう。
基本的には、心理療法をおこない、患者さん(カウンセリングでは、クライエントと呼びます)の話を聴いていきます。話を聴くなかで、クライエント自身で課題に気づいてもらうことがベースになります。
ものの見方にクセがある場合、どのようなクセなのか自己点検し、そのクセが課題にどのような影響を及ぼしているか考えていきます。
心理療法のなかでも効果があることで知られている認知行動療法は、このものの見方のクセを改善するのに有効であると言われています。
たとえば、うつ病の方は完ぺき主義で、まじめなタイプが多いと言われていますが、まずその完ぺき主義のせいでストレスを強く感じていないか、自分を振り返ってもらいます。
そして、「完ぺきでいないと気が済まない」という自分のものの見方のクセを分析し、ストレスの原因となっている場合は、改善をうながしていきます。
大切なのは、クライエント自身で気づいていくことで、治療者側から「あなたはこういう人です」と指摘することではありません。
その指摘が、クライエントにとって的外れの場合、治療にとって逆効果になる場合もあります。
ここで紹介した認知行動療法は心理療法の一つにすぎず、クライエントすべてに適用できるものではありません。
クライエントの相談の内容や課題によって、どのような心理療法を用いるかは変わってきます。
治療者と相談しながら、自分にふさわしいものを選ぶのがよいでしょう。
とはいえ、自分で心理療法を調べて、これをしてください、と依頼するのはおすすめできません。
心理療法は高度な専門知識を必要とする治療行為ですので、専門家以外の方が治療法を決めるのは、自分で心臓の手術の方法を決めるようなリスクがあります。
治療者が提供する心理療法が自分に合っているか合っていないかは、感覚的なものでよいのです。
カウンセリングを受けることで、自分の変化を感じられるか。
カウンセリングを今後も続けていきたいと思うか。
など、自分の感覚をたよりに、治療を進めていくのがよいでしょう。
違和感を覚えるときは、正直に治療者に話をして問題ありません。
自分が話したいと思うことを、心を開いて話すことが、何よりの治療になります。