カウンセリングはいくつかの段階を積み上げるようにおこなわれます。
大まかには、疾患・治療の理解→目標設定→自動思考の気づき・検討→実験行動→心のクセの気づき→治療の終了、といった流れです。
基本的にはこの流れに沿いながら、臨機応変に内容は変化します。
毎回のカウンセリング時間中に、家でやるホームワークも決めます。
このホームワークは本人と治療担当者が相談して決めるもので、治療担当者が一方的に決めて押し付けることはありません。
ホームワークは、次回のカウンセリングまでに実行し、振り返りもします。
カウンセリングの全体像
まずは疾患や認知行動療法についての理解をしてから始めます。
治療担当者とのコミュニケーションをとり、信頼関係を築きながら治療終結までの目標や現在の困りごとについて共有できれば準備完了です。
困りごとのなかで”自分でコントロールできそうな問題”や”解決に向けて具体的な行動ができそうな問題”を一緒に選びます。
「不安を二度と感じないようにしたい」など実現が難しそうな問題や「他者の自分への関わり方を軟化させたい」など自分ではなく他者を変化させるような目標は設定できません。
目標を決めたらいよいよ、認知や心のクセに気づき、検討し、変化させていく段階です。
実際に行動して、上手くいったと思う行動は定着させていきます。
ここでいう”自動思考”と”心のクセ”は似ていますが、別のものです。
“自動思考”は単一の状況における無意識の思考・行動を指し、”心のクセ”はもっと大きな視点での自分の考え方を指すイメージです。いうなれば、”心のクセ”は”信念”に近いかもしれません。
そのため、まずは自動思考の検討から始め、慣れてきたら”心のクセ”についても考えていく流れが一般的です。
そのあと再発防止のためのカウンセリングをおこない、治療が終結します。
ここまで、カウンセリング10~20回を目安におこなっていきます。治療に、かなりの時間をかけることがわかるでしょう。
再発防止の効果を得るためにも、気長に、そして根気強く治療に取組む姿勢が大切です。
『休職は人生を豊かにする可能性を秘めている』でもお伝えしましたが、じっくり治療にあたる時間をとれることを前向きにとらえましょう。