就労移行支援と就労継続支援の違いについて。両方とも利用できないの?

2022/6/28 最終更新

就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)は、どちらとも障害のある方が利用できる福祉サービスですが、その目的はそれぞれ異なります。

「移行と継続、二文字しか違わないけど、なにがどう違うの?」と思われるかもしれません。このコラムでは、就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)の違いをご紹介します。

  • 就労移行支援と就労継続支援の違い

    就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)は、どちらも障害者総合支援法による就労系の障害福祉サービスです。

    それぞれの違いを簡単にお伝えすると、就労移行支援は「働くために必要な就労スキルを学ぶための支援」で、就労継続支援(A型・B型)は「実際に働く場所を提供する支援」となります。

    就労移行支援は、一般企業への就労を目指す訓練を行うため、賃金が発生することは多くはありませんが、就労継続支援(A型・B型)は給与や工賃が発生します。就労継続支援A型と就労継続支援B型の大きな違いは、雇用契約の有無と利用できる年齢です。

     

     就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型
    目的就労するために必要な知識・能力を学ぶ就労や生産活動の機会を提供就労や生産活動の機会を提供
    対象者一般企業での就労を希望する障害のある方一般企業での就労は難しいが、支援者のサポートがあれば就労が可能な障害のある方スキルや体調の面で雇用契約を結んで働くことは困難な障害のある方
    雇用形態なしありなし
    賃金基本なし最低賃金以上の給与が発生工賃が発生
    平均賃金基本なし月額79,625円月額15,776円
    (令和2年度)(令和2年度)
    利用年齢原則18歳から65歳未満(※1、※2)原則18歳から65歳未満(※2)制限なし
    利用期間原則最大2年間(延長あり)制限なし制限なし

    ※1:18歳未満で就労移行支援を利用する場合には、児童相談所の意見書が必要
    ※2:平成30年4月から65歳以上も要件を満たせば利用可能
    参考:厚生労働省 障害者の就労支援対策の状況より

  • 就労移行支援と就労継続支援A型、就労継続支援B型、それぞれについて

    上の表で簡単にそれぞれの違いを示しましたが、就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)について、もう少し詳しく対象者や支援内容などをご紹介します。

     

    就労移行支援

    就労移行支援は、一般企業への就労を目指す障害のある方が、就職するためのサポートを受けることができる場所です。

    「働きたい」という気持ちはあるものの、さまざまな悩みや不安から、誰にも相談ができなかったり、なかなか一歩を踏み出せないという方も多いかもしれません。

    そのような方の「働きたい」という気持ちに寄り添い、一つひとつ課題をスタッフと一緒に解決しながら、就労するために必要なスキルを身につけられるようにサポートし、就職活動のサポートはもちろん、就職後に職場に長く安心して働き続けられるようにサポートします。

    <対象者>

    企業での一般就労または障害者雇用での就労を希望される方

    <支援内容>

    ・就労に必要なスキル(知識・能力)向上のための訓練を提供
    ・自立した日常生活を送るための生活支援の提供
    ・職場体験などを経験する機会の提供
    ・就職活動に関する支援の提供
    ・就職後の定着支援の提供(原則最大6ヵ月間)

     

    就労継続支援A型

    就労継続支援A型は、一般企業などでの就労が難しい障害のある方が、A型事業所と雇用契約を結んだ上で、一定の支援を受けて働きながら、就労に必要なスキル(知識・能力)を身につけながら一般就労への移行も目指せる場所です。

    A型事業所の大きな特長は、雇用契約があることです。雇用契約が結ばれているので、原則法律で規定される最低賃金以上の給料が支払われます。

    就労継続支援A型事業所の仕事内容はさまざまですが、支援者のサポートを受けながら安心して働くことができることが最大の特長です(例:データ入力、カフェやレストランのホールスタッフ、商品などの包装、清掃、配達や宅配補助、農作物の栽培・出荷など)。

     <対象者>

    ・支援者のサポートがあれば雇用契約に基づく就労が可能な方

    <支援内容>

    ・雇用契約に基づく就労や生産活動の機会を提供
    ・就労に必要な知識・能力向上の機会の提供
    ・一般就労に必要な知識・能力が身についた方に対する、一般就労への支援の提供

     

    就労継続支援B型

    就労継続支援B型は、企業などに雇用されることが難しく、雇用契約に基づく就労が困難な方に対して、サポートを受けながら軽作業や生産活動をおこない、就労に必要な知識・能力を身につける場所です。

    B型事業所は雇用契約がありません。そのため、労働に対する対価は工賃として支払われます。
    就労継続支援B型事業所の作業内容はさまざまです(例:データ入力、お菓子作り、包装・発送、清掃、農作業、クリーニングなど)。 

    <対象者>

    ・雇用契約に基づく就労が困難な方
    ・年齢や体力面で一般企業に雇用されるのが困難な方
    ・上記に該当しない方で、50歳に達している方または障害者基礎年金1級受給している方

    <支援内容>

    ・軽作業や生産活動の機会を提供
    ・就労に必要な知識・能力などの訓練を提供
    ・一般就労に必要な知識・能力が身についた方に対する、一般就労への支援の提供

  • 就労移行支援と就労継続支援、両方利用することは可能なの?

    就労移行支援と就労継続支援を同時に利用することは原則できません。

    同時に利用するのではなく、就労継続支援(A型・B型)で就労に必要なスキルを身につけてから、一般企業への就職を目指すため就労移行支援への利用に変更したり、その逆で、就労移行支援から就労継続支援(A型・B型)に利用を変更するということは可能です。

  • まとめ

    就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)の違いをご紹介しました。

    就労継続支援(A型・B型)は、一般企業で働くことが不安な方が、障害や体調などのサポートを受けながら、安心して働くことができる福祉サービスです。
    就労移行支援は、一般企業で働くことを目標としている方向けの福祉サービスなので、「企業で働きたい」と考えている方におススメです。

    体調や状況にあう福祉サービスを利用して、あなたらしく働くための一歩を踏み出してください。その他の疑問点や不安などがある方はお気軽にお問い合わせください。就労移行支援も、就労継続支援(A型・B型)も、一人ひとりが望むかたちのサポートに取り組んでいます。

     

    参考:

    https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/3b.pdf
    https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11801000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku-Soumuka/0000032713.pdf
    https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091254.pdf

     

    ※コラム中の画像は全てイメージです

執筆:コラム編集部
執筆:コラム編集部
医療・福祉分野で主に障害のある方の支援を10年以上従事。これまでの経験とノウハウを活かし、さまざまな事情から不調になり休職したり、働けなくなったりした方向けに、復職や就職などの“働く”をテーマに少しでも役立つ情報を執筆。
監修:藤澤 佳澄
監修:藤澤 佳澄
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程単位取得退学。大阪大学非常勤講師をはじめ、各種教育機関で教鞭をとる。 メンタルクリニックにて十年弱心理職として従事。「体験型ワークで学ぶ教育相談」(大阪大学出版会)一部執筆。現在は特定非営利活動法人Rodinaの研究所にて、リワークを広く知ってもらうための研究や活動をおこなう。