就労移行支援に通う期間は原則最大2年間。延長の可否についても解説

2022/6/28 最終更新

就労移行支援に興味をもったら、気になるのが通う期間だと思います。通ってみたいと思っているけれど、どのくらい通うことになるのか、見通しが気になることでしょう。

1ヵ月だけ通うのと、数年通うのでは心づもりが異なります。なにより、先のみえない状態で何かを始めることは不安ですよね。
事前の情報収集にぜひ、このコラムを活用してください。

  • 就労移行支援に通う期間について

    就労移行支援サービスを受けることができる期間は、最大2年間と定められています。

     

    これを知ると「2年間必ず通わないといけない」と思われがちですが、そんなことはありません。就職が思ったよりも早く決まった場合など2年よりも早く卒業していく方もいらっしゃいます。
    長く通えばその分手厚いサポートを受けられる」とか、「早く就職できるのなら、通う期間は短ければ短いほど良い」などというように、一概に良し悪しがあるわけではありません。

     

    なぜなら、就労移行支援サービスを受ける目的が、仕事に就き、続けていくことにあるためです。

     

    体調が優れないのに無理に就職活動をして仕事についたものの、再び体調を崩してしまい休職・退職となってしまうのはとても勿体ないことです。 また、職場環境の調整が上手くいっていない職場への就職する場合も、同じ結末を辿る可能性が高いです。

    あなたにとって良い未来を選択できるように、期間にこだわりすぎないことをおすすめします。
    思ったより早く就職できれば嬉しさも大きくなるでしょう。あせらなければ、じっくり職場を見極めることも可能です。複数の選択肢のなかから自分が選べる状況は大きな余裕につながります。

  • 就労移行支援サービスを利用できるのは一生に一度?

    就労移行支援サービスを利用できるのは一生に一度

    就労移行支援サービスについて調べていると、最大2年間通うことができるという情報はすぐに見つけることができます
    少し先を考える方は、この情報を知って「それなら、就労移行支援サービスが受けられるのは一生に一度なのかな?」と思うことがあるかもしれません。

     

    結論からいうと、人生で就労移行支援サービスが受けられるのは原則2年間までです。
    ここでは原則というのがポイントです。

     

    具体的にいうと、2年間就労移行支援に通ったけれども、就職ができなかったとき、自治体が「あと1年就労移行支援に通うことが有効だ」と判断した場合にはもう1年延長してサービスが受けられます。ただ判断は自治体次第となってしまいます。本人が希望しても、必ずしも延長されるとは限らないことは知っておきましょう。

    では、2年以内に就職できたため通わなくなった場合はどうなのでしょうか?
    もちろん、就職先で継続して仕事をすることが理想的ではありますが、なかにはそれが難しいこともあります。 つまり、就職したけれども、さまざまな理由で退職となった場合です。そのときは、また就労移行支援サービスを受けられるのでしょうか?

     

    結論は、受けられるけれど、原則最大の期間は差し引かれるとなります。
    たとえば、最初に半年就労移行支援事業所に通って就職した場合、そのあと再び通うことはできます。

  • 2年以内に就職できなかったら……?

    なかには、現在不安症状が強く出ており「2年以内に就職できなかったらどうしよう……」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
    このような不安に対する回答として、3つの選択肢を提示することができます。

     

    1.就労移行支援サービスの延長を申請する

    この場合は先ほどもお伝えした通り、必ずしも延長が認められるとは限りません。しかし、あと1年あれば就職が見込める場合にはとても効果的な選択肢です。  

     

    2.就労移行支援事業所から、他のサービスを紹介

    また、就労移行支援事業所から今後利用できる、ほかのサービスや施設の紹介もおこなっています。
    期限がきてしまった場合、どうしても就労移行支援事業所のスタッフが直接的にサポートすることはできなくなってしまいます。もどかしさはありますが、このタイミングで他に利用できるサービスも提案するので、今後に繋げていって欲しいと思います。

     

    3.自分で就職を目指す

    1も2も選ばず、自分で就職を目指す道もあります。最終的にどうするのか、決めるのはあなた自身です。
    就労移行支援事業所に2年間通った実績は必ず糧になるはず。通う前と通ったあとでは、ビジネスマナーとしての心構えや、スキルはステップアップしていると思いますので、身につけた知識とスキルをもって、前向きに就職活動を続けていくこともできます。
    自分で就職することのメリットはマイペースに活動することができる点と、就職がきまったとき「自分でやり遂げたんだ!」という達成感や自己肯定感につながることです。

  • まとめ

    就労移行支援サービスを受けることができるのは人生のうち、原則2年間だけです。

    事業所のスタッフが、2年以内に就職できるように精一杯サポートします。しかし、サポートを受けられるからといって、今感じている不安がすべてなくなるわけではないと思います。

    2年間で就職できなかった場合の選択肢についても紹介しました。とはいえ、2年以降直接的にサポートできないのは、スタッフとしても、もどかしいことです。事業所全体で期間内に就職できるように全力でサポートをするので、あなた自身も「2年以内に就職するぞ!」という意気込みをもって就労移行支援サービスを利用していきましょう。

     

     ※コラム中の画像は全てイメージです

執筆:コラム編集部
執筆:コラム編集部
医療・福祉分野で主に障害のある方の支援を10年以上従事。これまでの経験とノウハウを活かし、さまざまな事情から不調になり休職したり、働けなくなったりした方向けに、復職や就職などの“働く”をテーマに少しでも役立つ情報を執筆。
監修:藤澤 佳澄
監修:藤澤 佳澄
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程単位取得退学。大阪大学非常勤講師をはじめ、各種教育機関で教鞭をとる。 メンタルクリニックにて十年弱心理職として従事。「体験型ワークで学ぶ教育相談」(大阪大学出版会)一部執筆。現在は特定非営利活動法人Rodinaの研究所にて、リワークを広く知ってもらうための研究や活動をおこなう。