気分変調症の診断はどのようにされるのか?
気分変調症は特定の検査で発見できるものではありません。他の疾患同様に、医師によって診断されます。しかし医師も主観で診断するのではなく、診断基準が示されているものはそれを参考にします。気分変調症の診断基準が示されているものとして、現在日本では二つ挙げられます。
一つ目、ICD-10はWHOが作成しているもので、二つ目のDSM-5はアメリカ精神医学会が出版しています。ここではICD-10に準拠した形で、気分変調症について説明したいと思います。厚生労働省ホームページ ICD-10(2013年度版)準拠 内容例示表に、『少なくとも数年間は持続する慢性の抑うつ気分であるが、それほどは重症でなく、個々のエピソードもそれほどは遷延しないのであり、反復性うつ病性障害(F33)の重症、中等症または軽症のどの型の診断にも適合しない』と記載があります。 つまり、うつ病の診断基準は満たさないけれど、抑うつ気分が続く病気ということです。検査で発見することは難しいために自覚症状と診断基準、医師の診察によって診断されます。総合的にみて、医師の判断によるところが大きいといえるでしょう。
気分変調症の特徴と原因
気分変調症は生涯有病率が3~4%という珍しくない疾患です。女性の頻度は男性の二倍にのぼります。発症年齢はいわゆるうつ病より若い時期が多く、十代の若い世代にも少なくありません。若い世代で発症したケースでは、家族に似たような症状を持つ割合が多いといわれています。この世代の半数以上の親に精神的な問題が見つかったという調査結果もあります。元気がなく、悲観的な人々に囲まれて育つという環境要因は、こどもに影響を及ぼすと考えられます。このような環境要因を断ち切ることも、気分変調症には重要です。
また、心理的なストレスも発症の原因として考えられています。大切な人との死別、離婚や別居、仕事上の失敗といった特定のきっかけを原因に発症することもあります。注意したいのは、このような悲しみ、怒り、イライラを引き起こす出来事だけでなく、結婚や昇進という喜ばしい出来事もストレスになりうるということです。こころが急激な環境の変化についていけないとも考えられますし、そのような変化の影響を長く受けてしまうことも考えられます。
このように、気分変調症は特定の要因だけで発症するものではなく、様々な要因の影響が絡み合って発症にいたります。
気分変調症と症状が似ている疾患
これまで見てきたとおり、気分変調症は診断が難しい病気です。専門医であっても他の病気との見分けが難しいこともあります。他の精神疾患と症状が似ていたり、併存する疾患と症状が重複したりすることもあるからです。気分変調症と症状が似ている疾患としては、以下のようなものが挙げられます。
うつ病
統合失調症
パーソナリティ障害
自閉スペクトラム症
列挙してみると、多様な疾患と区別が難しいことがわかります。自己判断で決めつけると適切な対応ができず、思いがけない綻びが生じる可能性もあります。「もしかしたら……」と思うことがあれば、専門家に相談しましょう。