気分変調症とは。気分障害とは違うもの? ~疾患の概要と症状を知ろう~

2024/8/19 最終更新

診断カテゴリーとしては、比較的新しい気分変調症

新しいとはいえ、珍しくもない疾患だといわれています。

 

あんまり聞いたことない病名だけど、珍しくないの?」と、びっくりしたでしょうか。

認知度と有病率は必ずしも関連していない例だともいえそうです。

しかし、まだまだ認知度が低いことは事実ですし、見逃されやすい特徴もあり診断が難しいことも事実です。

 

タイトルをみて「気分変調症ってなんだろう?」と思い、このページを開いたあなたへ、気分変調症とはどんなものか伝えられたら良いと思いこのコラムを作成しました。

気分変調症の知識をつけることは認知度を高めていく行動だといえます。理解を深めてみましょう。

  • 気分変調症ってどんなもの? わかりやすく知りたい

    気分変調症とは。気分障害とは違うもの? ~疾患の概要と症状を知ろう~

    気分変調症を一言で表すと、抑うつ気分が長期間続く疾患です。

    詳しい診断基準などは『気分変調症の診断は難しい。似ている疾患にはどのようなものがある?』を参考にしてください。

    こちらのコラムではICD-10についてより詳しく紹介しました。

     

    さまざまな疾患で診断基準の参考に使用されているものとして、もうひとつDSMが挙げられます。

    第五版が最新のものですが、第三版で初めて気分変調症という診断カテゴリーが登場しました。

    最近は持続性抑うつ障害と呼ばれることもあり、おなじ疾患を指しています。

     

    抑うつ状態が代表的な症状ですが、長期間とは具体的に2年以上と記されています。

    ただし、小児や青年の場合は1年以上とされています。

    気分変調症には早期に発症するといった特徴もあり、それに関連した基準が設定されている印象です。

  • 気分変調症の症状

    気分変調症の症状は多岐にわたって現れます。抑うつ症状は、以下のようにさまざまな身体的・精神的な症状を引き起こすためです。

     

    食欲不振

    眠れない、睡眠リズムが安定しない

    やる気が出ない

    疲れやすい

    自尊心が低下し、自己評価も低くなる

    集中力、生産性の低下

    ネガティブ思考

     

    これらのうち、仕事に影響しやすいものについては、『気分変調症による仕事についての困りごととは? ひとりで悩まないで!』でまとめました。

    しかし、これらの症状は他の疾患でもみられることがあり、気分変調症特有の症状とはいえない印象をうけます。気分変調症は周囲の人から理解が得られづらいことがありますが、症状の特徴も関係しているのかもしれませんね。

     

    また、自分自身を責めてしまっているケースも多くみられます。

    “性格”だと見過ごされやすい気分変調症。治療で改善できる疾患です』で触れたように「もともとの性格だから仕方ない」と諦めてしまって治療につながらないこともあります。

  • “気分障害”の一分類である“気分変調症”

    “気分障害”の一分類である“気分変調症”

    もしかすると「気分障害なら聞いたことがあるけれど、気分変調症と同じものなの?」こんな疑問を持っている方もいるかもしれません。

    気分変調症についてGoogleで検索し情報収集していると、気分障害についての情報も多く表示されます。
    名称の字面も似ているため区別がしづらいですよね。

     

    DSM-5やICD-10で気分症変調症は、気分障害のひとつの分類に位置付けられています。

    気分障害は大枠で、細かい区別のひとつが気分変調症だということです。

     

    気分障害は「抑うつ状態や躁状態がみられる疾患の総称」です。

    躁状態とは、いわゆるハイになった状態を指します。そして、気分障害のなかでも抑うつ状態のみが長期間みられるものが気分変調症として他の疾患と区別されているのです。

    また、他の気分障害に分類される疾患としては双極性障害や反復性うつ病性障害などがあります。

  • まとめ

    現在、一般的に気分変調症と聞いてどんな疾患かをパッと説明できる方は少ないでしょう。

    このコラムをここまで読んだあなたは、気分変調症について大まかには説明できるようになっているのではないでしょうか。

     

    認知度を上げていくためには、一人ひとりが疾患について知っていくことが必要です。

    似たような症状の疾患、似たような字面で混同しやすい疾患などもありますが、疾患の理解なくして適切な対応や合理的配慮はあり得ません。

    ここから、適切な対応や治療につなげていきましょう。

     

     

    ※コラム中の画像は全てイメージです

執筆:コラム編集部
執筆:コラム編集部
医療・福祉分野で主に障害のある方の支援を10年以上従事。これまでの経験とノウハウを活かし、さまざまな事情から不調になり休職したり、働けなくなったりした方向けに、復職や就職などの“働く”をテーマに少しでも役立つ情報を執筆。
監修:藤澤 佳澄
監修:藤澤 佳澄
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程単位取得退学。大阪大学非常勤講師をはじめ、各種教育機関で教鞭をとる。 メンタルクリニックにて十年弱心理職として従事。「体験型ワークで学ぶ教育相談」(大阪大学出版会)一部執筆。現在は特定非営利活動法人Rodinaの研究所にて、リワークを広く知ってもらうための研究や活動をおこなう。