パニック障害の方に向いてる仕事は? 転職支援制度や会社への伝え方も解説

2026/2/4 最終更新

パニック障害の方に向いている仕事や転職支援制度、会社への伝え方、働けないときの選択肢をわかりやすく解説します。仕事と両立する工夫をしながら自分らしい働き方を見つけるヒントをまとめました。

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  • パニック障害とは

    パニック障害は、突然強い不安や恐怖におそわれる発作をくり返す精神疾患の一つです。発作は前ぶれなく起こることが多く、日常生活や仕事に影響を及ぼす場合があります。主な特徴は、発作そのものだけでなく、発作への不安や行動の制限が広がっていく点にあります。パニック障害では、次の3つの症状が中心となって現れます。

     

    パニック発作

    予期不安

    広場恐怖

     

    パニック発作の症状

    パニック発作は、突然あらわれる強い不安や恐怖とともに、さまざまな身体症状を伴います。代表的な症状には、動悸が激しくなる、息苦しさを感じる、めまいやふらつきが起こるといったものがあります。そのほか、胸の圧迫感、発汗、手足の震え、吐き気などが出ることもあります。

    これらの症状は数分から長くても数十分ほどでおさまることが多いですが、発作の最中は命の危険を感じるほど強い苦痛をともなう場合があります。検査をしても身体的な異常が見つからないことが多く、その点が不安を強める要因になることもあります。

    また、発作が「いつ起こるかわからない」という特徴があり、その不確実さが強い恐怖につながります。この経験が重なることで、発作そのものだけでなく、発作を起こすかもしれない状況に対する不安も大きくなっていきます。発作の強さや出方には個人差があり、毎回同じ症状が出るとは限りません。軽い動悸だけでおさまる場合もあれば、複数の症状が重なって強い不安を感じることもあります。そのため、発作への不安そのものが日常生活や仕事への緊張につながることも多いです。

     

    仕事への影響

    パニック障害は、仕事のさまざまな場面に影響を与えることがあります。たとえば、通勤中の電車やバスといった逃げ場の少ない状況で発作が起きるのではないかと不安になり、通勤が困難になる方もいます。

    職場でも、会議中や接客中など、その場を離れにくい状況で強い緊張を感じることがあります。発作が起きたときに周囲に迷惑をかけてしまうのではないかという不安から、仕事への集中がむずかしくなる場合もあります。

    こうした状態が続くと、業務のパフォーマンスが低下したり、欠勤や早退が増えたりすることがあります。仕事そのものよりも、発作への不安が負担になり、働き続けることに悩む方も少なくありません。こうした不安は、仕事の内容だけでなく、周囲の視線や評価を気にする気持ちとも結びつきやすいです。その結果、本来の能力を発揮しにくくなったり、必要以上に自分を責めてしまったりする方もいます。

  • パニック障害を会社に伝えるべきか

    パニック障害を会社に伝えるかどうかは、仕事の内容や職場環境、症状の状態によって判断が分かれます。伝えることで働きやすくなる場合もあれば、不安を感じる方もいます。そのため、メリットだけでなく、デメリットやリスクも含めて考えることが大切です。判断の際に意識したいポイントを整理します。

     

    配慮やサポートを受けやすくなるメリット

    伝えることへの不安や周囲の反応というデメリット

    伝えないことで生じるリスク

     

    伝えるメリット

    パニック障害を会社に伝える最大のメリットは、必要な配慮や理解を得やすくなる点です。症状について共有することで、通勤時間の調整や業務内容の見直し、発作が起きたときの対応方法などを相談しやすくなります。

    また、上司や同僚が状況を理解していることで、体調に不安があるときも安心して働きやすくなります。無理を重ねる前に相談できる環境が整うことは、症状の安定につながる場合もあります。

    さらに、企業によっては相談窓口や産業医、外部支援につなげてもらえることもあります。適切なサポートを受けながら働けることは、長く仕事を続けるうえでの大きな支えになります。あらかじめ状況を共有しておくことで、急な体調変化があった場合にも落ち着いて対応しやすくなります。自分だけで対処しようとしなくてよい環境は、心理的な負担を軽くする効果も期待できます。

     

    伝えないリスク

    一方で、会社に伝えないまま働き続けることにはリスクもあります。症状があるにもかかわらず無理を続けると、不安が強まり、発作が起こりやすくなることがあります。結果として、体調が悪化し、仕事を続けること自体がむずかしくなる場合もあります。

    また、周囲に事情が伝わっていないと、体調不良による欠勤や業務の遅れについて誤解を招くことがあります。理解が得られないまま孤立感を深めてしまうケースも少なくありません。

    発作が起きた際の対応が共有されていないと、適切な配慮を受けられず、本人も周囲も戸惑ってしまうことがあります。伝えない選択をする場合でも、支援機関や医師に相談しながら慎重に判断することが大切です。また、体調不良の理由が伝わらないまま業務調整がおこなわれると、本人の意図とは異なる評価につながる可能性もあります。結果として、働きづらさが増してしまうケースもあります。

  • パニック障害で働けないときの選択肢

    パニック障害の症状が強いときは、無理に働き続けるのではなく、状況に応じた選択をすることが大切です。体調や生活状況に合わせて選べる道はいくつかあります。ここでは、代表的な対応策を整理します。

     

    休職して治療や回復に専念する

    退職や転職を検討し、環境を変える

    体調が整ってから復職を目指す

     

    休職

    休職は、現在の職場に在籍したまま、一定期間仕事を離れて治療や休養に専念する制度です。主治医の診断書をもとに会社へ相談し、休職に入る流れが一般的です。期間や条件は企業ごとに異なりますが、数ヵ月から1年程度と定められている場合が多いです。

    休職中は、症状の安定を第一に考え、通院や生活リズムの見直しに取り組みます。健康保険の傷病手当金を利用できる場合もあり、収入面の不安を軽減できることがあります。

    手続きの際は、人事担当者や上司と連絡を取り、必要書類や今後の流れを確認しておくと安心です。休職は、働き続けるための前向きな選択肢の一つといえます。

    休職中は、復職を急ぐよりも、安定した生活リズムを整えることが重要です。焦らず回復を優先することで、その後の復職や転職がスムーズになる場合もあります。

     

    転職

    現在の職場環境が症状に合わない場合、転職を検討する選択もあります。一般雇用では、業務内容や勤務時間、通勤方法などを重視し、自分に負担の少ない条件を選ぶことが重要です。

    また、障害のある方として障害者雇用枠での転職を考える方法もあります。障害者雇用では、症状への配慮やサポート体制が整っている企業が多く、安心して働きやすい場合があります。

    転職活動では、仕事内容が具体的か、柔軟な働き方が可能かなどを確認するとよいです。必要に応じて支援機関を活用し、無理のない形で進めることが大切です。転職活動を進める際は、症状が落ち着いている時期を選び、無理のないペースで取り組むことが大切です。体調と相談しながら進めることで、長く働ける職場と出会いやすくなります。

     

    復職

    休職後に復職を目指す場合は、十分な準備が欠かせません。主治医と相談し、仕事に戻っても問題ない状態かを確認したうえで、復職の判断をおこないます。

    復職前には、勤務時間を短くする、業務量を調整するなど、職場環境の調整を相談することも重要です。段階的に仕事に慣れていくことで、再発のリスクを抑えやすくなります。

    復職後も、体調の変化に注意しながら、医師や職場と連携を続けることが大切です。無理をしすぎず、自分のペースで働き続けることが安定につながります。復職後も、体調の波が出ることは珍しくありません。そのため、定期的に状況を振り返り、必要に応じて働き方を見直す姿勢が大切です。

  • パニック障害で働けない方への支援制度

    パニック障害の症状により、すぐに働くことがむずかしい場合でも、状況に応じて利用できる支援制度があります。支援やサポート施設を活用することで、回復や再就職に向けた準備を進めやすくなります。代表的な選択肢は次のとおりです。

     

    就労移行支援・リワークセンター

    ハローワーク

    障害者就業・生活支援センター

     

    就労移行支援事務所・リワークセンター

    就労移行支援事務所は、一般企業への就職を目指す障害のある方を対象に、就職に必要な準備をサポートする福祉サービスです。生活リズムの安定、ストレスへの対処方法、仕事に必要なスキルの習得などを段階的に支援します。

    リワークセンターは、休職中の方や復職を目指す方を対象とし、再び働くための準備をおこなう支援機関です。職場復帰に向けた体調管理や、再発を防ぐための考え方、職場との関わり方などを学ぶことができます。

    Rodinaのリワークセンターでは、就労移行支援やリワーク支援を通じて、一人ひとりの状態に合わせたサポートをおこなっています。無理のないペースで就職や復職を目指せる点が特長です。

     

     

    ハローワーク

    ハローワークは、仕事を探している方であれば利用できる公的な支援機関です。パニック障害のある方に対しても、専門の窓口で相談を受け付けている場合があります。

    求人紹介だけでなく、職業相談や応募書類の作成支援、面接に関するアドバイスなどを受けることができます。障害者雇用枠の求人を紹介してもらえる点も特徴です。

    一人で転職活動を進めることに不安がある場合でも、相談しながら進められるため、安心して利用しやすい支援先といえます。

     

    障害者就業・生活支援センター

    障害者就業・生活支援センターは、障害のある方の就職と生活の両面を支援する機関です。仕事に関する相談だけでなく、日常生活や体調管理に関する相談も受けることができます。

    就職活動のサポートに加え、就職後の職場定着に向けた支援を受けられる点が特徴です。関係機関や企業と連携しながら、継続して働ける環境づくりを支えてくれます。

    仕事と生活をあわせて相談できるため、長期的な視点で働き方を考えたい方にとって心強い支援先です。

  • パニック障害の方に向いている仕事

    パニック障害のある方が仕事を選ぶ際は、症状が出にくい環境や働き方を意識することが大切です。緊張や不安を感じにくい条件を整えることで、安定して働きやすくなります。向いている仕事には、いくつかの共通した特徴があります。

     

    一人で集中でき、対人ストレスが少ない環境

    時間に融通が利き、体調に合わせて調整しやすい働き方

    業務内容が比較的定型で、見通しを立てやすい職種

     

    一人で集中できる環境

    一人で黙々と作業できる仕事は、パニック障害の方に向いている場合があります。対人関係による緊張が少なく、自分のペースで仕事を進めやすい点が特長です。

    定型業務や事務作業では、業務内容が比較的決まっているため、先の見通しを持ちやすく、不安を感じにくいことがあります。書類作成やデータ整理など、集中して取り組める仕事は、落ち着いた環境を保ちやすいです。

    また、IT関連の仕事も、自席での作業が中心となることが多く、対面でのやり取りが限定される場合があります。作業内容が明確で、成果が分かりやすい仕事は、安心感につながりやすいです。

    業務の進め方が明確で、急な対応が少ない仕事は、安心感につながりやすいです。自分なりの作業手順を確立しやすい点も、安定して働くうえでの支えになります。

     

    時間に融通が利く働き方

    勤務時間や働く場所を調整できる働き方も、パニック障害の方にとって重要なポイントです。在宅勤務は、通勤時の不安を減らし、自宅という安心できる環境で働ける利点があります。

    フレックスタイム制や時差出勤を利用できる職場では、混雑する時間帯を避けて働くことができ、体調に合わせた調整がしやすくなります。無理なく働ける時間帯を選べることで、発作への不安を軽減できる場合もあります。

    柔軟な働き方が可能な職場を選ぶことで、症状と向き合いながら仕事を続けやすくなります。

    体調に合わせて休憩を取りやすい環境も重要です。無理をしない働き方ができることで、不安を感じにくくなり、仕事を継続しやすくなります。

  • パニック障害と仕事を両立するコツ

    パニック障害があっても、工夫を重ねることで仕事との両立は可能です。大切なのは、症状を理解し、周囲の協力を得ながら無理のない形をつくることです。意識したいポイントを整理します。

     

    職場環境を調整し、不安を感じにくくする

    医師と連携し、体調管理をおこなう

    家族のサポートを受けながら生活を整える

     

    職場環境の調整

    職場環境の調整は、安心して働くための大切な要素です。たとえば、出入口に近い席や、人目を気にせず休憩しやすい場所に座席を配置してもらうことで、不安を和らげられることがあります。

    通勤についても、混雑を避ける時間帯に変更したり、在宅勤務を取り入れたりすることで負担を減らせます。また、発作が起きた場合の対応をあらかじめ共有しておくことで、安心して仕事に向き合いやすくなります。

    小さな配慮の積み重ねが、安定した就労につながります。事前に相談できる相手や窓口があるだけでも、安心感は大きく変わります。小さな不安を早めに共有することが、安定した就労につながります。

     

    医師との連携

    医師との連携も欠かせません。定期的に受診し、症状や仕事の状況を伝えることで、適切な治療や助言を受けやすくなります。

    服薬をしている場合は、医師の指示に従い、自己判断で中断しないことが大切です。また、必要に応じて、医師の意見を書面で職場に共有することで、配慮を受けやすくなることもあります。

    医師、職場、本人が連携することで、無理のない働き方を続けやすくなります。仕事の変化や負担を医師に伝えることで、より実情に合った助言を受けやすくなります。体調と仕事の両立を考えるうえで、継続的な相談は大切です。

  • まとめ

    パニック障害は、発作そのものだけでなく、発作への不安や行動の制限が仕事に影響することがあります。そのため、自分の症状や状態を理解し、無理のない働き方を選ぶことが大切です。

    仕事を続けるうえでは、会社に伝えるかどうかを含め、状況に応じた判断が求められます。休職や転職、復職といった選択肢を知っておくことで、体調に合わせた対応が取りやすくなります。

    また、支援制度や支援機関を活用することで、回復や再就職に向けた準備を進めやすくなります。自分に合った仕事や環境を見つけ、周囲のサポートを受けながら、少しずつ仕事と向き合っていくことが、安定した就労につながります。

  • よくある質問

    Q パニック障害で手帳はもらえますか?

    パニック障害の場合でも、症状や日常生活への影響の程度によっては、精神障害者保健福祉手帳の対象になることがあります。手帳をもらえるかどうかは、診断名だけで決まるものではなく、通院状況や生活上の困りごとなどを総合的に判断して決定されます。申請には主治医の診断書が必要です。詳しい条件や手続きについては、自治体の窓口や医師に相談することをおすすめします。申請するかどうかは必須ではなく、生活や仕事の状況に応じて判断できます。利用を迷う場合は、医師や支援機関に相談すると安心です。

     

    Q パニック障害は仕事で迷惑をかけてしまいますか?

    パニック障害があるからといって、必ず仕事で迷惑をかけてしまうわけではありません。症状や体調には個人差があり、環境調整や配慮によって安定して働いている方も多いです。無理を重ねてしまうと負担が大きくなることはありますが、医師や支援機関、職場と連携しながら働き方を工夫することで、周囲とのバランスを取りやすくなります。一人で抱え込まず、相談しながら進めることが大切です。配慮や工夫を取り入れることで、無理なく働いている方も多いです。必要以上に一人で抱え込まないことが大切です。

     

     

     

    ※コラム中の画像は全てイメージです

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執筆:コラム編集部
執筆:コラム編集部
医療・福祉分野で主に障害のある方の支援を10年以上従事。これまでの経験とノウハウを活かし、さまざまな事情から不調になり休職したり、働けなくなったりした方向けに、復職や就職などの“働く”をテーマに少しでも役立つ情報を執筆。
山下 明子 先生
山下 明子 先生
【資格】内科医/脳神経内科医/医学博士/産業医
【肩書】医療法人社団如水会今村病院 副院長
【経歴】佐賀県鳥栖市生まれ。マインドフルネス、well-being、栄養、運動、睡眠、脱依存、習慣化という7つの要素を提唱。現在は、診療、産業医活動、YouTube配信、執筆などをおこなっている。