ADHDの方に向いている仕事は? 特性を活かす働き方のポイント

2026/2/2 最終更新

ADHDの方に向いている仕事や働きやすい職場環境をわかりやすく解説します。特性を強みに活かせる仕事、苦手になりやすい仕事の特徴、仕事で活躍するためのポイント、相談先までを網羅し、不安を減らしながら自分らしい働き方を見つけるヒントをまとめました。

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  • ADHDとは? 仕事に与える影響

    ADHDは、不注意や多動性、衝動性といった特性がみられる発達特性の一つです。子どものころから特性はありますが、成人期になってから診断される方も少なくありません。仕事では、集中のむずかしさや行動のコントロールに課題を感じるときがある一方、特性によっては行動力や発想力として活かせる場面もあります。自分の特性を理解することは、働きやすい環境づくりにつながります。

     

    不注意優勢型

    不注意優勢型は、集中を持続することや細かな確認が苦手になりやすい特性があります。仕事では、書類の確認漏れや期限管理のむずかしさとして表れることがあります。また、周囲の音や出来事に気がそれやすく、作業に時間がかかると感じる方もいます。一方で、興味のある分野には深く入り込める傾向があり、工夫次第で力を発揮しやすくなります。

     

    多動・衝動優勢型

    多動・衝動優勢型は、じっとしていることや待つことが苦手で、思いついたことをすぐに行動に移しやすい特性があります。仕事では、落ち着きがないと見られることや、発言や行動が先行してしまう場面があるかもしれません。その一方で、行動力や決断の早さが強みになり、変化の多い業務やスピードが求められる場面で活躍することもあります。

     

    混合型

    混合型は、不注意と多動・衝動性の両方の特性がみられるタイプです。集中が続きにくい一方で、思い立つとすぐ行動する傾向があり、仕事の進め方に波が出やすいことがあります。業務の優先順位づけや自己管理に負担を感じる場合もありますが、特性を理解し環境を整えることで、柔軟な発想やエネルギーを仕事に活かしやすくなります。

  • なぜ社会人になってからADHDに気づくのか?

    学生時代と社会人では、生活環境や求められる役割が大きく異なります。学生のころは、時間割が決まっており、課題の期限や行動の流れもある程度示されています。そのため、周囲のサポートによって特性による困りごとが表に出にくい場合があります。

    一方、社会人になると、自分で仕事の段取りを組み、期限を管理し、複数の業務を同時に進めることが求められる場面が増えます。こうした環境の変化により、不注意による抜け漏れや、多動性・衝動性による行動のズレが目立ちやすくなります。

    また、報告や連絡、調整といった対人スキルや、安定した自己管理能力が重視されることで、これまで気づかなかった特性に直面することもあります。仕事を通して違和感や負担を感じる経験が重なり、社会人になってからADHDに気づく方も多いです。

  • ADHDの特性は強みになる! 仕事で活かせる長所

    ADHDの特性は、工夫や環境によって仕事のなかで強みとして活かせることがあります。特性を正しく理解することで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。ここでは、仕事でプラスに働きやすい長所を3点紹介します。

     

    行動力と決断力があり、スピード感を求められる場面で力を発揮しやすい

    独創的なアイデアや発想力で、新しい視点を提供できる

    好きなことに対して高い集中力を発揮し、専門性を深めやすい

     

    行動力と決断力

    ADHDの方は、思い立ったことをすぐに行動に移せる傾向があります。慎重さよりもスピードを重視する場面では、この行動力が大きな強みになります。仕事では、チャンスを逃さずに動ける点や、判断を先延ばしにしない姿勢が評価されることもあります。 たとえば、営業職では顧客からの要望に素早く対応したり、新しい提案をすぐに形にしたりする力が活かされます。また、企画職でも、思いついたアイデアをすぐ試す行動力が、企画の幅を広げるきっかけになる場合があります。スピード感が求められる環境では、行動力と決断力が成果につながりやすいです。

     

    独創的なアイデアと発想力

    常識にとらわれない発想ができる点も、ADHDの特性の一つです。周囲とは異なる視点で物事を考えられるため、新しいアイデアを生み出しやすい傾向があります。仕事では、これまでにない切り口や柔軟な考え方が求められる場面で力を発揮します。 企画会議やブレインストーミングでは、多様な意見が必要とされます。独創的な発想は、行き詰まった議論を前に進めるきっかけになることもあります。型にはまらない考え方が、チームや企業にとって価値ある提案につながる場合も多いです。

     

    好きなことへの驚異的な集中力(過集中)

    ADHDの方には、興味のある分野に対して強い集中力を発揮する過集中がみられることがあります。一度集中すると、周囲の刺激が気にならなくなり、長時間取り組める点が特長です。 この特性は、専門性が求められる仕事で活かしやすいです。研究職やエンジニアなど、特定のテーマを深く掘り下げる仕事では、高いパフォーマンスにつながることがあります。好きな分野と仕事が結びつくことで、集中力を活かしながら安定した成果を出しやすくなります。

  • ADHDの特性を活かせる! 向いている仕事の4タイプ

    ADHDの特性は、仕事内容や働く環境と合うことで強みとして発揮されやすくなります。向いている仕事にはいくつかの傾向があり、自分の特性を理解することで選択肢を広げやすくなります。ここでは、ADHDの強みを活かしやすい仕事のタイプを4つ紹介します。

     

    発想力を活かせるクリエイティブな仕事

    行動力を活かせるアクティブな仕事

    探求心を活かせる専門的な仕事

    人との対話や変化を楽しめる仕事

     

    発想力を活かすクリエイティブな仕事

    デザイナーやライター、企画職などのクリエイティブな仕事は、ADHDの発想力と相性がよいとされています。常識にとらわれない視点でアイデアを出せるため、新しい企画や表現を求められる場面で力を発揮しやすいです。 アイデアを考え、形にしていくプロセスは、変化があり刺激を受けやすい点も特性に合っています。試行錯誤しながら改善していく流れは、集中力が高まるきっかけになることもあります。自由度が高く、自分の裁量で進めやすい環境では、持ち味を活かしやすくなります。

     

    行動力を活かすアクティブな仕事

    営業職や販売職、インストラクターなどのアクティブな仕事は、行動力を活かしやすい分野です。人と関わりながら動く機会が多く、同じ作業の繰り返しになりにくい点が特性に合う場合があります。 身体を動かすことや、日々変化のある業務は刺激になり、集中しやすくなる方もいます。スピード感を持って対応する場面が多いため、思い立ったらすぐ行動できる特性が評価につながることもあります。

     

    探求心を活かす専門的な仕事

    研究者やプログラマー、分析家などの専門的な仕事は、探求心や過集中を活かしやすい仕事です。特定のテーマや分野に深く取り組めるため、興味を持った対象を掘り下げながら成果を出しやすい傾向があります。 過集中によって高い集中力を発揮できると、複雑な課題や専門性の高い業務でも力を発揮しやすくなります。成果が明確になりやすい仕事は、達成感を得やすい点も特性に合っています。

     

    人との対話や変化を楽しめる仕事

    接客業やコンサルタント、イベント関連職など、人との対話が多い仕事も向いている場合があります。人と関わるなかで状況が変化するため、刺激を受けながら仕事を進めやすいです。 衝動性は、好奇心や親しみやすさとして伝わることがあります。相手の話に興味を持って反応できる点が、信頼関係づくりにつながる場合もあります。変化を楽しめる環境では、特性が前向きに活かされやすくなります。

  • ADHDの人が苦手としやすい仕事の特徴

    ADHDの特性によって、仕事の内容や進め方によっては負担を感じやすい場合があります。向いていない傾向を知ることは、無理のない働き方を考えるうえで大切です。ここでは、困難を感じやすい仕事の特徴を2点紹介します。

     

    複数の業務を同時に進めるマルチタスクが多い仕事

    高い正確性や細かな確認が常に求められる仕事

     

    複数の業務を同時にこなすマルチタスク業務

    マルチタスクが求められる仕事では、複数の情報を同時に処理し、優先順位を判断し続ける必要があります。ADHDの特性として注意が散りやすいため、業務を切り替えるたびに集中が途切れ、混乱を感じやすくなることがあります。 たとえば、事務職や秘書の仕事では、電話対応をしながら書類作成を進めたり、複数の依頼を同時に管理したりする場面が多いです。このような環境では、抜け漏れや作業の遅れにつながりやすく、強いストレスを感じる場合があります。

     

    高い正確性が求められる精密な作業

    細かな確認や正確な処理が求められる仕事も、負担を感じやすい傾向があります。不注意の特性により、集中が続かないと小さな見落としが起きやすくなり、ケアレスミスにつながることがあります。 経理やデータ入力などの仕事では、数字や情報を正確に扱うことが重要です。わずかなミスが結果に影響するため、常に緊張感を持って作業する必要があります。その状態が続くと疲労がたまりやすく、特性との相性に悩む方もいます。

  • ADHDの特性と仕事で上手く付き合う3つのコツ

    ADHDの特性があっても、工夫や選択次第で仕事で力を発揮しやすくなります。大切なのは、自分に合ったやり方を知り、無理をしすぎないことです。ここでは、仕事で活躍するためのポイントを3つの観点から紹介します。

     

    仕事の進め方を工夫し、ミスや抜け漏れを減らす

    発達障害に理解のある環境を選ぶ

    一人で抱え込まず、支援サービスを活用する

     

    自分に合った仕事術でミスや抜け漏れを防ぐ

    ADHDの特性があると、タスクの抜け漏れや期限管理に負担を感じることがあります。そのため、自分に合った仕事術を取り入れることが重要です。たとえば、タスク管理ツールを使い、やるべきことを見える形で整理することで、頭の中だけで覚えようとする負担を減らせます。 メモを取るときは、あとから見返しやすいように書く場所や形式を決めておくと便利です。紙のメモやデジタルメモなど、自分が使いやすい方法を選ぶことがポイントです。 また、集中できる環境づくりも大切です。机の上を必要最低限の物だけに整えたり、周囲の音が気になる場合はノイズ対策を取り入れたりすると、注意が散りにくくなります。小さな工夫を積み重ねることで、仕事のしやすさが変わってきます。

     

    発達障害に理解のある職場を選ぶポイント

    職場環境は、働きやすさに大きく影響します。求人票を見るときは、業務内容が具体的に書かれているか、勤務時間や働き方に柔軟性があるかを確認するとよいです。業務の進め方が明確な職場は、安心して働きやすい傾向があります。 面接の場では、仕事の進め方やサポート体制について質問することも大切です。障害者雇用に取り組んでいる企業や、多様な働き方を認めている企業では、個々の特性に配慮した環境が整っている場合があります。 自分の特性を理解したうえで、無理なく続けられるかどうかを見極めることが重要です。理解のある職場を選ぶことが、長く安定して働くためのポイントになります。

     

    一人で抱え込まない! 利用できる支援サービス

    仕事の悩みや不安を一人で抱え込まないことも大切です。ADHDのある方が利用できる支援サービスには、さまざまな選択肢があります。Rodinaが運営するリワークセンターもその一つで、自立訓練や就労移行支援を通じて、生活リズムの安定や仕事に必要なスキル習得、就職活動のサポートなどをおこなっています。自分の特性を理解しながら、段階的に就職を目指せる点が特長です。 また、ハローワークには専門窓口があり、仕事探しや職場定着に関する相談ができます。さらに、障害者職業センターや精神保健福祉センターでは、職業評価や就労に関する助言、心の健康に関する相談などを受けることができます。支援サービスを活用することで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。

     

    サービス紹介:https://service.rodina.co.jp/service/

    全国のハローワークの所在案内:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/hellowork.html#h1

    各都道府県の障害者職業センター:https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001242595.pdf

    精神保健福祉センター:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/hoken_fukushi/index.htm

  • まとめ

    ADHDの特性は、不注意や多動性、衝動性によって仕事で困りごとにつながることがあります。一方で、行動力や発想力、集中力といった強みとして活かせる面もあります。自分の特性を正しく理解することが、働きやすさを高める第一歩です。

    向いている仕事や苦手としやすい仕事の傾向を知ることで、無理のない選択がしやすくなります。また、仕事の進め方を工夫したり、理解のある職場環境を選んだりすることで、特性による負担を減らすこともできます。

    さらに、一人で悩まず、支援サービスを活用することも大切です。自分に合ったサポートを受けながら、少しずつ働き方を整えていくことで、安心して仕事と向き合いやすくなります。

  • よくある質問

    Q ADHDは職場に伝えるべきですか?

    ADHDを職場に伝えるかどうかは、必ずしも一つの正解があるわけではありません。仕事の内容や職場環境によって、判断が分かれることが多いです。業務上の配慮やサポートが必要な場合は、伝えることで働きやすくなるケースもあります。一方で、すべての場面で伝える必要はなく、自分が安心して働けるかどうかを基準に考えることが大切です。迷ったときは、支援機関などに相談しながら判断する方法もあります。

     

    Q ADHDの人が転職を考える際のポイントは?

    転職を考える際は、自分の特性と仕事内容が合っているかを意識することが重要です。業務内容が具体的に示されているか、仕事の進め方が明確かといった点は確認しておくと安心です。また、マルチタスクの多さや求められる正確性の高さなど、自分にとって負担になりやすい条件も整理しておくと判断しやすくなります。必要に応じて支援サービスを活用し、客観的な視点を取り入れながら進めることも有効です。

     

     

     

    ※コラム中の画像は全てイメージです

休職・離職中のお悩み相談

病気や障害のこと、暮らしのこと、
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執筆:コラム編集部
執筆:コラム編集部
医療・福祉分野で主に障害のある方の支援を10年以上従事。これまでの経験とノウハウを活かし、さまざまな事情から不調になり休職したり、働けなくなったりした方向けに、復職や就職などの“働く”をテーマに少しでも役立つ情報を執筆。
前田 佳宏 先生
前田 佳宏 先生
【資格】精神科医
【肩書】和クリニック 院長
【経歴】医師11年目。東大病院精神科医局所属。精神保健指定医。日本小児精神神経学会所属。東京警察病院、国立精神神経医療研究センター等に勤務。都内クリニックで、3年間児童精神科の専門外来を経験。トラウマ専門外来で、自身も30~60分の心理療法を1,500時間以上提供。2021年4月から町田にて「和クリニック」を開業。