障害者グループホームとは何? 入居条件や費用、探し方を徹底解説
2025/9/8 最終更新
障害者グループホーム(共同生活援助)とは、障害のある方が支援を受けながら共同生活を送る住まいのことです。
この記事では、グループホームの種類や入居条件、費用、利用開始までの流れ、そして自分に合った施設の探し方までわかりやすく解説します。
2025/9/8 最終更新
障害者グループホーム(共同生活援助)とは、障害のある方が支援を受けながら共同生活を送る住まいのことです。
この記事では、グループホームの種類や入居条件、費用、利用開始までの流れ、そして自分に合った施設の探し方までわかりやすく解説します。
目次
病気や障害のこと、暮らしのこと、
お金や社会保障制度のこと、そして仕事のことなど、
何でもご相談ください。
障害者グループホームは、障害のある方が専門スタッフの支援を受けながら、地域社会のなかで共同生活を送る住まいのことです。 戸建て住宅やアパートなどの形態があり、少人数で家庭的な雰囲気のなか、自立した暮らしを目指すことができます。
これは障害者総合支援法にもとづく「共同生活援助」という福祉サービスのひとつです。 利用者はおもに夜間や休日に食事や入浴、金銭管理といった日常生活に必要な援助や相談支援を受けながら、日中は職場や日中活動支援事業所(デイサービスなど)へ通います。
障害のある方が住み慣れた地域で安心して暮らし、社会的な孤立を防ぎながらその人らしい生活を実現するための大切な拠点といえます。
グループホームと共同生活援助は同じように使われますが、厳密には少し異なります。
「共同生活援助」は法律にもとづくサービスの正式名称で、そのサービスが提供される住居の通称が「グループホーム」です。一般的に、両者はほぼ同じものを指す言葉として使われています。
障害者グループホームでは専門スタッフの支援を受けながら、食事や金銭管理など自立生活に必要なスキルを実践的に学ぶことができます。グループホームでの暮らしのなかで、他者との交流を通して社会的な孤立を防ぎ、将来への土台を築けるのが特長です。そして、家族にとっても介護負担の軽減というメリットがあります。
障害者グループホームは、提供される支援内容や時間帯によって主に4つの種類に分けられます。 それぞれの特長を理解し、ご自身の状況や希望に合ったタイプを選ぶことが大切です。
もっとも一般的なタイプのグループホームです。 夜間や休日は、事業所のスタッフが利用者に対して食事や入浴、排せつなどの介護サービスや日常生活上の相談支援を直接提供します。日中は就労先やデイサービスなどに通い、帰宅後や休日に支援を受けるという生活スタイルが基本です。
スタッフが身近にいるため、困ったことがあればすぐに相談できるのが大きなメリットです。支援が必要な場面が多いものの、地域社会での暮らしを続けたいと考える方に適しています。
グループホームのスタッフは主に相談援助や家事支援などをおこない、入浴などの専門的な介護サービスが必要な場合は、外部の訪問介護事業所などに委託して提供します。
利用者一人ひとりのニーズに応じて必要な介護サービスを外部の専門事業者から受けられるため、柔軟な対応が可能です。グループホームのスタッフからは、生活全般に関する相談や安否確認などのサポートを受けつつ、介護は使い慣れた事業所のヘルパーに引き続きお願いしたいといった希望がある場合に適しています。支援の必要度の低い方が利用することが多いですが、個別の障害特性に応じた専門的なケアを組み合わせたい方にも向いています。
夜間や休日にくわえ、日中もスタッフが常駐する24時間体制のグループホームです。
このタイプは、高齢化や障害の重度化により日中もグループホーム内で過ごす時間が長い方が主な対象です。常にスタッフがいるため、予期せぬ体調不良やトラブルにも迅速に対応でき、手厚い支援を受けられるのが特長です。短時間の就労や活動に参加する方や、現時点では日中活動の場がない方も安心して地域での生活を継続できます。
本体となるグループホームの近隣にあるアパートなどの一室を利用し、一人暮らしに近い形で生活するタイプです。定期的なスタッフの訪問や、利用者自身が本体のグループホームへ相談や食事のために通うことでサポートを受けます。
一定のプライバシーを確保しながら、なにかあったときにはすぐに相談できる安心感を両立できるのがメリットです。ただし将来的には一人暮らしへの移行を目的としているため、原則として利用期間が3年以内と定められている点がほかのタイプと異なります。
自治体独自の施策もあり、たとえば東京都では「滞在型」と「通過型」の2つのタイプに分けられています。滞在型は、利用期間に制限がなく、長期的な利用が可能です。
通過型は、原則3年以内の利用期間が設定されており、将来的に一人暮らしを目指せる利用者を対象としています。通過型では、専門の職員が配置され、退所後の生活もサポートします。
障害者グループホームに入居するためには、いくつかの条件があります。
原則として18歳以上の知的障害、精神障害(発達障害を含む)、身体障害、または難病などのある方が対象です。身体障害のある方は65歳未満、または65歳になる前に障害福祉サービスを利用した経験がある方が対象となります。
障害者手帳の所持は必須ではありませんが、お住まいの市区町村から障害福祉サービス受給者証の交付を受ける必要があります。 この受給者証の申請手続きのなかで、どのくらいの支援が必要かを示す障害支援区分の認定を受けることが一般的です。
また共同生活を送るうえで基本的なルールを守れることや、一定の自立した生活を送る意欲があることも求められます。ただし必要な支援の内容は人それぞれですから、まずは相談窓口や希望する事業所に問い合わせてみてください。
グループホームには法律上の入居期限は原則ありません。ただし、自立を目的とするサテライト型は3年という期限が設けられています。また施設ごとに方針は違うため、入居前に必ず期間の定めを確認しましょう。
障害者グループホームの利用を開始するまでには、いくつかの手順を踏む必要があります。一般的には以下のような流れで進めます。
1. 相談
まずお住まいの市区町村の障害福祉課や、相談支援事業所に相談しましょう。担当となる相談支援専門員が情報提供や今後の手続き全般をサポートしてくれます。
2. 支給申請と認定調査
市区町村の窓口で「共同生活援助」を利用したい旨を伝え、障害福祉サービスの支給申請をおこないます。 申請後、聞き取り調査などによって心身の状況や必要な支援の度合いを示す障害支援区分が決定されます。
3. サービス等利用計画案の作成
相談支援専門員が、本人や家族の意向をもとにどのような生活を送りたいかをまとめた「サービス等利用計画案」を作成します。
4. 支給決定と受給者証の交付
提出された計画案などをもとに市区町村が審査をおこない、支給が決定されると「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。
5. グループホーム探し
受給者証の交付と並行して、入居したいグループホームを探します。 施設の雰囲気やスタッフとの相性などを確認するため、見学や体験利用をしてみることをおすすめします。
6. 契約・入居開始
入居したいグループホームが決まったら個別支援計画について説明を受け、内容に合意したうえで事業者と利用契約を結びます。 その後、入居日を調整して新しい生活が始まります。
障害者グループホームの利用にかかる費用は、大きく分けて「障害福祉サービス利用料」と「その他の実費負担」の2つがあります。
月々の費用の総額は家賃や食費などを含めて4万円~8万円程度が一般的ですが、地域や事業所によって差が大きいこともあるため、補助制度を活用することも重要です。
「共同生活援助」という福祉サービスそのものに対する利用料があります。ただし所得に応じた負担上限額が定められており、利用者の負担はサービス費用の1割となっています。この1割負担分も、世帯の所得によって月々の負担上限額が設定されています。
生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯:0円
市町村民税課税世帯(所得割16万円未満):9,300円
上記以外(所得割16万円以上):37,200円
たとえば市町村民税非課税世帯の方であれば、サービス利用料の自己負担は0円になります。
家賃負担を軽減する国の補助制度、特定障害者特別給付費の活用も大切です。これは市町村民税非課税世帯の利用者に対し、月額最大1万円が補助されるものです。このほかにも市区町村が独自の家賃補助をおこなっているケースもあるため、窓口で確認しておきましょう。
自分に合ったグループホームを見つけることは、生活の質を大きく左右する重要な場面です。探し方と選ぶ際のポイントを解説します。
グループホームを探すにはいくつかの方法があります。ひとつの方法に偏らず、複数を組み合わせて情報を集めるのがおすすめです。
市区町村の障害福祉窓口
地域のグループホームのリストや空き状況などの情報を提供してくれます。公的な窓口なので、安心して相談できます。
相談支援事業所
相談支援専門員は、福祉サービスの専門家です。本人の障害特性や希望をふまえたうえで、地域にあるたくさんの事業所のなかから適した候補を一緒に探してくれます。
病院や支援機関からの紹介
通院している病院のソーシャルワーカーや、現在利用している福祉サービスのスタッフから紹介してもらえる場合もあります。
候補となるグループホームが見つかったら、自分に本当に合っているか、以下のポイントを参考に見極めましょう。
支援内容とスタッフの体制
自分の障害特性に合った支援を受けられるか、スタッフの専門性や人柄はどうかを確認します。 特に夜間の支援体制は安心に関わる重要なポイントです。
施設の場所と環境
職場や日中活動の場所への通いやすさは非常に重要です。 またスーパーや病院、駅までの距離など、生活の利便性も確認しましょう。建物の共有スペースの広さや清潔感、個室のプライバシーなどをチェックします。
費用
家賃や食費、光熱費など、毎月かかる費用の総額が、自分の収入や障害年金の範囲で無理なく支払えるかを確認します。
他の利用者との相性やルール
共同生活のため、施設の雰囲気や他の利用者との相性も大切です。食事の時間や門限などのルールが自分の生活スタイルに合うかも確認しましょう。
最終的には必ず見学をおこない、できれば体験利用をしてから決めることが大切です。
障害者グループホームは、障害のある方が専門的な支援を受けながら地域社会で自立した生活を目指すための住まいです。
利用には申請が必要ですが、相談支援専門員のサポートを受けたり、費用負担の軽減措置や家賃補助制度を利用したりすることで安心して進められます。なによりも見学などを通して自分に合う施設を選択することが重要ですので、納得のいく住まいを見つけ、自分らしい未来への一歩を踏み出してください。
※コラム中の画像は全てイメージです
病気や障害のこと、暮らしのこと、
お金や社会保障制度のこと、そして仕事のことなど、
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