就労移行支援とは
就労移行支援とは、一般の事業所への就職を目指す障害や難病のある方のために、
一般就労に向けて必要な知識やスキルトレーニングなどの支援をおこなう障害福祉サービスです。
就労移行支援を運営している法人によって特色はありますが、基本的なサービスの内容は、就労に合わせた生活習慣の構築、就労に必要なスキルの獲得、ジョブマッチングに向けて職場実習や職業体験の実施、面接トレーニング、安定して働き続けるための自己理解や、合理的配慮の内容の確認などがあげられます。

定着率を高め、安定した就労を目指すために
利用される方のメリットとしては、日々通所をしながら利用するサービスとなるため、就職面接のなかにおいても、就労移行支援事業所でどのようなことを取り込んできたのかが明確にお伝えできることができるため、企業側も採用の判断の情報量が多くなることや、就労後も定着支援を半年間は無料で受けることができるため、安定した就労を目指すことができる点がポイントです。「障害者の就業状況等に関する調査研究」などからも、定着支援を受けることで、1年後の定着率が受けていない場合と比較しても20%以上継続率が高いというデータも出ており、日々通われるなかで、自分のことを知っている支援者から継続してサポートを受けられる点も、就労移行支援を利用する一つのメリットでもあります。
就労継続支援A型・
就労継続支援B型との違い
障害者総合支援法における就労系福祉サービスには、就労移行支援のほかに、
就労継続支援A型、就労継続支援B型という事業があります。
就労継続支援A型
一般的に就労継続支援A型は「一般の事業所への雇用が困難であり、雇用契約にもとづく就労が可能である方」に対して、働きながら一般就労に向けて支援を提供する「雇用型」となっています。
就労継続支援B型
一般的に就労継続支援B型は「一般の事業所への雇用が困難であり、雇用契約にもとづく就労が困難な方」に対して、就労の機会提供や生産活動の機会の提供をする「非雇用型」の福祉サービスとなっています。
就労継続支援B型事業、3つの比較はこちら
| 就労移行支援事業 | 就労継続支援A型事業 | 就労継続支援B型事業 | |
|---|---|---|---|
| 事業概要 |
就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、
❶生産活動、職場体験等の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練 ※ 市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新可能 |
通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結などによる就労の機会の提供および生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援をおこなう。 (利用期間:制限なし) |
通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約にもとづく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供および生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援をおこなう。 (利用期間:制限なし) |
| 対象者 | ❶企業などへの就労を希望する者 |
❶就労移行支援事業を利用したが、企業などの雇用に結びつかなかった者 ❷特別支援学校を卒業して就職活動をおこなったが、企業などの雇用に結びつかなかった者 ❸企業などを離職した者など就労経験のある者で、現に雇用関係の状態にない者 |
❶就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者 ❷就労移行支援事業を利用(暫定支給決定における利用を含む)した結果、本事業の利用が適当と判断された者 ❸①、②に該当しない者で、50歳に達している者、または障害基礎年金1級受給者 ❹①、②、③に該当しない者で、協議会などからの意見を徴することなどにより、一般就労への移行などが困難と市町村が判断した者 (平成27年3月末までの経過措置) |
ハローワークとの違い
ハローワークは厚生労働省が管轄する機関で障害の有無にかかわらず、どなたでも利用が可能な公共機関であり、
就労移行支援は障害福祉サービスである点が大きな違いとなります。
就労移行支援は障害福祉サービスであるため、年齢の制限や前年の収入に応じた利用料金(自己負担金額)が発生する場合もあり、また利用期間にも原則2年という期間設定がありますが、ハローワークはどなたでも無料で幅広く相談を受けていただくことが可能です。
一方で、就労移行支援では一般就労に向けたさまざまなプログラムやトレーニングがあるのに対して、ハローワークは主に求人情報の紹介や就職活動のサポートに特化している点が違いとなります。就労移行支援を利用しながら、ハローワークを利用することも可能であるため、自分にあったハローワークの利用の仕方を考えてみるのも一つです。
就労移行支援を
利用できる人
就労移行支援を利用できる人は、一般就労を希望している方のなかで、原則18歳以上65歳未満の方であり、また身体障害、精神障害、発達障害、知的障害のある方、障害者総合支援法の対象疾病(難病)のある方が利用をすることが可能です。利用にあたっては障害者手帳の保持は必須ではなく、主治医の意見書などがあり、お住まいの市区町村から一般就労に向けて就労移行支援での支援の必要性があると認められた場合にも、利用いただくことが可能となっています。また一部自治体ではアルバイトをしながらの利用も可能となっているケースもございます。
就労移行支援の
利用開始の条件
就労移行支援を利用する場合、お住まいの市区町村において障害福祉サービスを利用するための「障害福祉サービス受給者証」の発行が必要となります。障害者手帳をお持ちの方、または医師の診断書がある方が対象です。受給者証が発行されることにより、見学や体験をしていただきながら、自分にあった就労移行支援事業所と契約手続きをおこなうことで、サービスを利用することが可能となります。
就労移行支援の
利用期間
就労移行支援の利用期間は、原則2年間(24ヵ月)となっております。市区町村に申請し、必要性が認められた場合は最大1年間の延長が可能です。多くの方が1年〜1年半程度で就職を実現しています。利用期間について確認したい場合はお住まいの市区町村に、または利用を検討している就労移行支援事業所にお問い合わせをしてみてください。
就労移行支援の
利用料金
障害福祉サービスの自己負担は、所得に応じて次の4区分の負担上限月額が設定され、
ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。
見てみよう!
| 区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯(注1) | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。 |
9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(注2)収入が概ね670万円以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」。
出典:障害者の利用負担
就労移行支援の
プログラム
就労移行支援では、就職に向けた多彩なプログラムを受けることができます。
プログラムの例
ライフスキルトレーニング
栄養管理・服薬管理、金銭管理、ストレスケア、セルフチェック、体力づくり、生活リズムの改善
ソーシャルスキルトレーニング
コミュニケーショントレーニング、アサーショントレーニング、ディスカッション、グループワーク
ビジネススキルトレーニング
事務業務訓練、オフィスソフトやIT技術の習得、作業訓練、資格取得訓練
就労移行支援を運営している法人ごとのさまざまな特色がありますが、その他にもジョブマッチングに向けて、職業体験や企業実習、履歴書・職務経歴書の作成、面接練習、企業分析など、就職活動に直結するものから、日々の通所の面談などを通じて、自分自身の特性や自己理解を深めていくことが可能となっています。
就労移行支援では、支援者との関わりだけでなく、同じ一般就労を目指す他の利用者も利用をされているため、グループワークを通じてキャリアについて考えたり、さまざまな意見交換ができる点も魅力の一つです。
在宅訓練に特化している、デザイナーやIT技術の習得に特化している、発達障害専門の支援をしているなど、いろいろな就労移行支援があるため、それぞれの希望に合わせた就労移行支援を選ぶことも重要です。
就労移行支援の
人員配置
就労移行支援は障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスのため、運営における人員の配置基準が定められています。
配置が必要とされている職種は管理者・サービス管理責任者・生活支援員・職業指導員・就労支援員となっています。それぞれの職種には事業所ごとの労働時間によって「常勤」「非常勤」という考え方があったり、開設年度における条件や前年度の平均利用者数に応じた条件設定などがあります。
基本的な考え方としては、管理者は必ず1名以上は配置をすること、サービス管理責任者は前年度の平均利用者数が60人以下の場合、1人以上を配置すること。生活支援員・職業指導員は常勤換算で前年度の平均利用者数÷6以上の人数が必要で、かつどちらにも人を配置し、その内1人は常勤配置すること。就労支援員は常勤換算で前年度の平均利用者数÷15以上の人数の配置が必要となります。人員配置基準は複雑ですが、それぞれの職種に応じた支援を提供するため、利用を検討している就労移行支援にお問い合わせをしてみてください。
| 職種 | 必要員数 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 管理者 | 一人 | 利用者へのサービス提供の場面などで生じる事象を適切に把握しながら、従業者および業務の一元的管理をおこなうとともに、他の職種の人員に運営基準の規定を遵守させるために必要な指揮命令をおこないます。 |
| サービス管理責任者 | 一人以上は常勤 | 利用者の個別支援計画書を作成し、支援の進行管理や関係機関との連絡調整をおこない、また職業指導員、生活支援員、就労支援員に技術指導をおこないます。 |
| 職業指導員 | 一人以上 | 利用者が就職するために必要な知識やスキルを習得できるようにサポートします。 |
| 生活支援員 | 一人以上 | 利用者の日常生活の健康管理を指導、相談に応じて必要なサポートをおこないます。 |
| 就労支援員 | 一人以上 | 利用者の職場実習や就職活動、就職後の職場定着のサポートをおこないます。 |
就労移行支援とその他の
公的機関・福祉サービス
との違い
就労移行支援は一般就労を目指すために利用する障害福祉サービスです
就労系福祉サービスでは、就労継続支援A型(雇用型)、就労継続支援B型(非雇用型)がありますが、利用にあたっての目的や期間の制限などが異なります。いずれの就労系福祉サービスを利用していても、一般就労を目指す方のなかには、どなたでも利用が可能な公共機関であるハローワークを同時に利用される方が多くおられますが、就労移行支援では般就労に向けて必要な知識や、スキルトレーニングなどの支援を実施するのに対して、ハローワークは主に求人情報の紹介や就職活動のサポートに特化している点が違いとなります。
それ以外にも、障害福祉サービスには利用の目的に応じてサービスの種類が多くありますが、就労支援以外の福祉サービスにおいては、たとえば自立生活援助や共同生活援助といったサービスもあります。
自立生活援助は、地域で一人暮らしを始めた後に、安心しながら生活ができるように支援するサービスです。具体的には自宅への訪問や、必要に応じて生活面の課題がある場合において関係機関との調整・連携などをおこないながら、緊急時の相談も受けていただくことができます。
共同生活援助はいわゆるグループホームとなっており、障害のある方が生活上の支援を受けながら、共同生活を送りつつ、食事・服薬管理・入浴等の日常生活に関する相談を幅広くサポートするサービスとなっています。
| 種類 | 目的 | 期限 |
|---|---|---|
| 就労移行支援 | 障害のある方が一般就労を目指すために利用します。働くために必要な知識やスキルの習得、就職活動の支援、就職後の職場定着まで支援し、自立して働けるようになることを目的としています。 | 原則として最長2年間 |
| 就労継続支援A型 (雇用型) |
障害や難病により一般就労が難しい方が、雇用契約を結んで、給与(最低賃金以上)を得ながら、働くことができます。働きながら、必要な知識やスキルを向上させて、最終的には一般就労を目指すケースも多くあり、目的としています。 | 原則として制限なし |
| 就労継続支援B型 (非雇用型) |
障害や難病により一般就労が難しい方が、自分のペースで働きながら、仕事のスキルや安定した生活リズムを習得し、工賃を得ながら、社会参加や充実した生活を送れることを目的としています。 | 制限なし |
| ハローワーク | 障害の有無に関わらず利用できます。求職者の目的としては、仕事探しの支援と雇用保険の手続き、不随するさまざまな職業支援サービスを利用することができます。 | 登録日の翌々月の月末まで |
| 自立生活援助 | 障害や難病のある方が、一人暮らしをはじめたときに、自立した生活が継続できるように、暮らしの安心や安全を支援することを目的としています。 | 原則として1年間 |
| 共同生活援助 | 障害や難病のある方が、施設や親元での生活から、共同生活へ移行し、そこで自分らしく生活を続けられるように支援することを目的としています。 | 制限なし |
就労移行支援を
利用するまでの流れ
就労移行支援を利用するまでの流れは大きく以下の5つの手順で進んでいきます。