結論からいうと、認知行動療法は多くの人に効果をあげていることがわかっています。ただし、一過的に向かない状態になっている人はいます。性格や資質の問題ではなく、状況やタイミングの問題なのです。認知行動療法は、日常の出来ごとを今よりもう少しうまくいくように、ものごとの捉え方や行動を変えていきます。変えるものごとには、些細なことも含まれるでしょう。
思い返してみて欲しいのですが、これまでも日常を良くするために、さまざまなことを変えてきませんでしたか? 極端にいうと、大人になった今、小学生のときと全く同じ生活をしている人はいないはずです。これまでにも少しずつ、トライアンドエラーを繰り返してきたはずです。認知行動療法ではそれと似たような日々の積み重ねによって認知と行動を変化させていきます。これまで誰もがやってきたことの延長ともいえるのです。では、今認知行動療法に向かないのはどのような状態の人でしょうか。
このような状態の人には向きませんが、永続的に続くわけではありません。今、一時的に向かない状態になっているだけです。
「休職して不安だ」「何か始めないと」など不安や焦りが強いときや、「死んでしまいたい」などつらい気持ちがあるときには認知行動療法のメリットをうまく享受できません。認知行動療法には、『認知 = 自分の考え方の癖』を客観視することが必要です。自分の考え方の癖を見つけて「他の考え方はないかな?」と探していくことで進めていきます。
しかし、精神の状態が不安定だと客観視することがとても難しくなります。考え方の癖を見つけた時点で、「なんてダメな考え方なんだ……」と否定してしまったり、そもそも「考え方の癖なんてない」と思い込んでしまったり。なかなか治療が進んでいきません。 精神状態を先に安定させたほうが認知行動療法の効果も高く感じることができるでしょう。まずは睡眠や食生活の改善を図り、心身の調子を整えることを優先させましょう。睡眠については過去にもご紹介していますので、興味があれば下のコラムも読んでみてください。
認知行動療法は現在とは違う考え方を自分に定着させていく方法です。そのため、現在の考え方を変えたくないと思っている人には向きません。さらにいうと、自分主体になって変えていくという覚悟がない人にも向きません。もちろん、これらも一過的な気持ちの部分もあるでしょう。また、「変えたいけど変えられない」、「やる気が起きない」と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は下のコラムも読んでみてくださいね。