地域活動支援センター(通称:地活)は、障害のある方が住み慣れた地域で自立した生活を送るための相談・活動拠点です。障害者総合支援法にもとづき地域生活支援事業として市区町村が実施し、日中の居場所や人との交流の機会を提供しています。
地域活動支援センターの目的は、障害のある方の地域における自立した生活と社会参加を促進することです。そのために、以下のような多様な役割を担っています。
地域活動支援センターの前身は、1970年代頃から地域に広がった「小規模作業所」です。これらは障害のある方の活動の場として、当事者や家族が自主的に運営していましたが、法的な位置づけがなく運営が不安定という課題がありました。そこで安定した支援を受けられるよう、2006年の障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)の施行に伴い、これらの施設が再編・制度化されました。この時に一定の基準を満たした小規模作業所などが、現在の「地域活動支援センター」や「就労継続支援B型事業所」へと移行したのです。
地域活動支援センターの活動は、すべてのセンターでおこなわれている「基礎的事業」と、各センターの機能に応じた「機能強化事業」の2つに分かれます。センターによって内容はさまざまなので、見学などを通じて確認することが大切です。
基礎的事業は、多くのセンターでおこなわれる基本的な活動で、利用者に日中の活動の場を提供し、生きがいや仲間づくりを支援します。具体的な活動は施設によって異なりますが、絵画・手芸などの創作活動、お菓子製造・販売などの生産活動、スポーツ・音楽などのレクリエーションが一般的です。このほかにも談話室で過ごすなど、自分のペースで好きなように時間を使うことができます。
機能強化事業は、より専門的な支援をおこなうサービスで「I型」「II型」「III型」の3つに分かれています。(制度上は3類型に整理されているものの、実際の名称や運営形態は自治体ごとに異なる場合もあります)
地域の障害者支援の拠点としての役割が強いタイプです。精神保健福祉士などの専門職員を配置し、利用者への専門的な相談支援のほか、地域の医療機関や福祉サービスとの連携調整役を担います。地域住民への普及啓発など、地域全体の支援体制を向上させるための活動もおこないます。利用者数が1日あたりおおむね20人以上と比較的大規模なセンターが対象となります。
就労が難しい在宅の障害のある方への支援に特化しています。日常生活スキルの維持・向上を目指す機能訓練や、公共交通機関の利用練習といった社会適応訓練を重点的に実施します。センターによっては入浴サービスなど、より手厚い生活支援を受けられる場合もあります。利用者数はおおむね1日15人以上とされています。
I型やII型に比べて小規模で、地域の実情に応じた柔軟なサービスを提供するタイプです。特定の障害に特化したり、若者向けプログラムを実施したりと、地域のニーズに合わせた独自の取り組みが特長です。長年地域に根差してきた施設が多く、アットホームな雰囲気を持つセンターが多い傾向にあります。利用者数は1日あたりおおむね10人以上とされています。
対象者は原則としてセンターが所在する市区町村に住む、障害のある方です。精神障害、知的障害、身体障害、発達障害、難病など、障害の種類は問いません。大きな特長として、必ずしも障害者手帳が必須ではない点が挙げられます。自治体の方針にもよりますが、自立支援医療受給者証を持っている方や、医師の診断書などで障害が証明できる方も対象となる場合があります。「日中の居場所が欲しい」「人との交流の機会が欲しい」といった本人からの希望があり、自治体が必要性を認めれば利用できる可能性があるため、まずは市区町村の障害福祉担当窓口や、利用を希望するセンターに直接問い合わせてみましょう。
地域活動支援センターの利用料は、原則として無料です。運営費用が公費で賄われているため、経済的な負担を心配することなく利用できます。ただし活動内容によっては、昼食代、材料費、交通費などの実費負担が生じる場合があります。これらの費用の有無や金額はセンターによって異なります。利用を開始する前の見学や相談の際に、どのような場合に費用がかかるのかを確認しておくと安心です。
地域活動支援センターを利用したいと思ったら、どうすればよいのでしょうか。ここでは、相談から利用開始までの具体的なステップと、手続きで必要になることがある「受給者証」について解説します。
地域活動支援センターを利用するまでの大まかな流れは以下のとおりです。
01.相談・情報収集
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援事業所に相談し、自分に合いそうなセンターの情報を得ます。
02.見学・体験利用
気になるセンターが見つかったら連絡を取り、見学します。実際に雰囲気や活動内容を自分の目で確かめておきましょう。
03.利用申請・登録
利用したいセンターが決まったら、市区町村の窓口やセンターで利用申請の手続きをおこないます。
04.利用開始
手続きが完了し、センターとの契約が済んだら、利用開始となります。自分のペースで通い始めましょう。
地域活動支援センターは「地域生活支援事業」のため、一般的には受給者証は不要です。ただし自治体独自の登録証や受給者証を求められる場合もあります。自治体によっては地域活動支援センターの利用に受給者証が不要な場合や、センター独自の利用登録のみで済む場合もありますので、まずはお住まいの市区町村の窓口に確認しましょう。
障害者就業・生活支援センターはその名の通り、障害のある方の「就業(働くこと)」と「生活」の両面を一体的に支援する専門機関です。障害者雇用促進法に基づいて全国に設置されており「なかぽつ」という愛称で呼ばれることもあります。おもな役割として、ハローワークや地域の福祉・医療機関、特別支援学校などと緊密に連携し、就職相談や職場実習のあっせんといった就業支援、健康や金銭管理の助言などの生活支援をおこないます。仕事を始める準備から就職後の職場定着まで、長期間にわたるサポートを受けられるのが大きな特長です。また、支援対象は求職者に限りません。在職中の方が抱える課題の相談や、障害者雇用に取り組む企業からの専門的な相談に応じるなど、総合的な窓口として機能しています。
発達障害者支援センターは発達障害者支援法にもとづき設置された施設で、年齢を問わず、自閉症スペクトラム障害(ASD)など発達障害のある方やその家族を専門的に支援します。具体的な診断がなくても「気になる」という段階から相談可能です。医療・福祉・教育・労働など地域の関係機関と連携し、一人ひとりに合った支援を考え、適切なサービスにつなぐのがおもな役割です。また本人および家族の支援だけでなく、関係機関の職員への助言や、発達障害への理解を広めるための地域への普及啓発もおこなう、総合的な相談窓口として機能しています。
就労移行支援事業所は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。一般企業で働くことを目指す65歳未満の障害のある方を対象に、スキル訓練や自己分析、職場実習、就職活動の支援などのサポートを提供します。利用期間は原則2年で、就職という明確なゴールに向かって準備を進めていくといった点が大きな特長です。就職後も、職場に定着し長く働き続けられるようサポートする「定着支援」を受けられるのがポイントです。
地域活動支援センターとよく比較されるサービスに「就労継続支援(A型・B型)」があります。どちらも障害のある方が日中に通う場所ですが、特に地域活動支援センターが「居場所・活動の場」であるのに対し、就労継続支援は「働く場」としての性格が強いサービスです。
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項目 |
地域活動支援センター |
就労継続支援(A型・B型) |
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目的 |
・居場所の提供 ・社会交流、生きがいづくり ・創作活動、生産活動 |
【A型】雇用契約にもとづき、支援を受けながら働く 【B型】雇用契約を結ばずに、軽作業などをおこない工賃を得る |
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対象者 |
地域に住む障害のある方など |
一般企業での就労が困難な障害のある方 |
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活動内容 |
創作活動、レクリエーション、軽作業、相談など多様 |
【A型】企業での労働 【B型】施設内での軽作業 |
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工賃/賃金 |
原則なし |
【A型】あり(雇用契約に基づく賃金) 【B型】あり(生産活動に対する工賃) |
精神障害のある方が利用できる精神科デイケアも、日中の活動を支援する点では共通しますが、その位置づけが根本的に異なります。地域活動支援センターが「福祉」のサービスであるのに対し、精神科デイケアは「医療」の一環であるという点が大きな違いです。
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項目 |
地域活動支援センター |
精神科デイケア |
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目的 |
居場所の提供、社会交流、生きがいづくり |
症状の安定、再発予防、リハビリテーション |
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実施主体 |
市区町村、社会福祉法人、NPO法人など |
医療機関 |
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職員体制 |
生活支援員、社会福祉士など |
医師、看護師、精神保健福祉士など医療専門職が中心 |
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利用方法 |
市区町村の窓口やセンターに相談・登録 |
主治医の指示に基づいて利用 |
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利用料 |
原則無料(実費負担あり) |
医療保険が適用され、自己負担分(1割~3割)が発生 |
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おもな活動 |
創作活動、レクリエーション、軽作業など |
グループワーク、心理教育、スポーツなど、医学的管理下でのプログラム |