就労継続支援B型は、障害者総合支援法にもとづく福祉サービスのひとつです。障害や難病などで一般企業での就労が困難な方を対象に、その人のペースで働ける機会を提供します。B型の大きな特長は、事業所と雇用契約を結ばずに利用できる点です。そのため週1日や1日数時間からの利用も可能で、体調に合わせて無理なく作業できます。軽作業などを通じて社会とのつながりを持ちながら、就労に必要な知識や能力の向上を目指せるため、社会参加への大切な一歩となります。
このサービスを提供する場所を「就労継続支援B型事業所」といい、一般には「B型作業所」「B型事業所」とも呼ばれます。事業所には、利用者一人ひとりの個別支援計画をつくるサービス管理責任者、作業の進め方を教える職業指導員、生活面の相談にのる生活支援員などが配置されています。作業の場であると同時に、生活リズムや体調管理についても相談できる場所である点が、一般の職場との大きな違いです。
就労継続支援B型で得られる収入は、給料ではなく工賃と呼ばれます。雇用契約を結ばないため最低賃金の適用はなく、工賃は生産活動の成果に応じて支払われます。厚生労働省の公表資料によると、令和5年度の全国の平均工賃は月額22,649円です(令和8年3月の修正後の数値。修正前は23,053円)。ただしこの金額はあくまで平均であり、工賃の水準は地域や事業所の運営方針、作業内容によって大きく異なります。たとえば都市部では比較的高く、地方では低い傾向が見られます。また専門性の高い作業(Webサイト制作やイラストデザインなど)を請け負っている事業所では、工賃も高くなる場合があります。逆に単純な軽作業が中心の事業所では、平均を下回ることも少なくありません。
就労継続支援B型は、障害や難病などによって、雇用契約のもとで働くのがむずかしい方を対象としたサービスです。障害者手帳の所持は必須ではなく、医師の診断書や意見書などにより支援の必要性が認められれば利用できる場合があります。
【利用条件】
次のいずれかにあてはまる方が対象です。
原則として18歳以上が対象で、年齢の上限はありません。またA型とは異なり利用期間の定めもないため、長期的に自分のペースで働き続けることが可能です。
【どんな人が利用している?】
利用者の障害種別は、精神障害、知的障害、身体障害、発達障害、難病などさまざまです。たとえば次のような方が利用しています。
※自治体によって運用が異なる場合があるため、くわしくはお住まいの市区町村の障害福祉窓口で確認しましょう。
【メリット】
【デメリット・注意点】
「B型はやめたほうがいい?」と迷う方もいますが、向き・不向きは目的によって変わります。まずは体調を安定させ、自分のペースで働く経験を積みたい方には適したサービスです。一方、できるだけ早く一般企業で働きたい方は、就職に向けた訓練をおこなう就労移行支援や、雇用契約を結んで働くA型もあわせて検討するとよいでしょう。
就労継続支援B型でおこなう作業内容は事業所によって実にさまざまで、自分の興味や得意分野に合わせて活動の場を選ぶことができます。作業は大きく分けて、施設内でおこなうものと、一般企業へ出向く施設外就労の2種類があります。事業所において作業をおこなう「施設内作業」では、部品の組み立てや雑貨制作、パンの製造といった軽作業、データ入力やデザインなどのパソコン作業、さらには農作業やカフェでの接客まで多岐にわたる仕事が用意されています。一方「施設外就労」は、事業所のスタッフとチームで企業へ出向いて、ホテルの客室清掃や工場での検品といった実務をおこなう働き方です。実際の職場で働くことでより一般就労に近い経験を積み、実践的なスキルを習得できるのが大きな特長といえるでしょう。
このように活動内容は幅広く、事業所によっても大きく異なるため、見学や体験利用を通じて自分に合った環境かどうかを事前に見極めることが重要です。
就労継続支援にはA型とB型があり、どちらも障害のある方の勤労を支援するサービスです。もっとも大きな違いは雇用契約を結ぶかどうかで、これにより報酬や働き方などが異なります。
| 名称 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
| 雇用契約 | あり | なし |
| 対価 | 給料(最低賃金以上を保証) | 工賃(最低賃金の保証なし) |
| 勤務時間 | 週20時間以上が目安 | 制限なし(短時間から可能) |
| 対象者 | 一般就労は困難だが、雇用契約にもとづき継続して就労が可能な方 | 雇用契約にもとづく就労が困難な方 |
| 年齢制限 | 原則18歳~65歳未満 | 原則18歳以上、上限なし |
| 利用期間 | 定めなし | 定めなし |
A型はある程度の時間継続して働くことができ、一般就労に近い形で働きたい方に向いています。一方、B型は自身の体調やペースを最優先に考えて働きたいという方に適しています。
就労継続支援A型事業所での就労が体調の変化などで難しくなった場合、B型へ移行するという選択肢があります。たとえば「環境が合わず、精神的に不安定になってしまった」といった理由でA型事業所を退職する方もいます。B型に移行することで勤務時間を減らし、心身の安定をはかりながら自分のペースで働き続けることが可能です。手続きの流れは、まず現在のA型事業所や自治体の担当課などに相談します。そのあと、移行先のB型事業所を探し、あらためて利用申請の手続きをおこないます。
就労継続支援B型は福祉サービスのため、利用料金がかかる場合があります。就労継続支援B型の利用を開始するためには手続きが必要です。自治体によって多少の違いはありますが、おおむね以下の流れで進みます。
01.自治体の窓口や相談支援事業所などで、B型の利用希望を伝えて相談する
02.興味のある事業所を見学・体験し、作業内容や雰囲気を確認する
03.利用したい事業所を決め、自治体の窓口でサービスの利用を申請する
04.必要に応じて「就労選択支援」を利用し、働き方についてのアセスメントを受ける(くわしくは下記)
05.「サービス等利用計画案」などの必要書類を作成・提出する
06.「障害福祉サービス受給者証」が交付されれば、これを事業所に提示して契約を結び利用を開始する
就労選択支援とは、2025年10月から始まった新しい障害福祉サービスです。就労アセスメントの手法を使って、本人の希望や得意なこと、配慮が必要な点などを整理し、自分に合った働き方や就労先を選べるように支援します。
2025年10月以降、就労経験がなく、新たに就労継続支援B型を利用したい方は、原則として先に就労選択支援を受ける運用に変わりました。ただし、次の方は希望に応じた利用となり、就労選択支援を経なくてもB型を利用できます。
また、近くに就労選択支援の事業所がない場合などは、就労移行支援事業所などによるアセスメントで代えられることもあります。なお就労継続支援A型も、2027年4月から新規利用時に原則として就労選択支援を利用する予定です。
就労選択支援を受けることで、B型だけでなくA型や就労移行支援、一般就労など、ほかの選択肢も含めて自分に合う働き方を検討できます。運用は自治体によって異なる場合があるため、市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に確認しましょう。
下記のように世帯の所得に応じた月額上限が定められています。18歳以上の利用者負担額算定の範囲は本人とその配偶者となり、親の収入は含まれません。自立支援医療制度を利用している場合や障害年金を受給している場合でも、上記の区分にそって負担額が決定されます。
| 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
| 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 上記以外(所得割16万円以上) | 37,200円 |
就労継続支援B型は、他の公的制度と併用して生活を安定させることが可能です。障害年金については、B型で工賃を得ていても受給資格に影響はなく、多くの利用者が就労支援を利用して収入の柱にしています。生活保護も併用できますが、工賃は収入として申告する必要があり、それによって保護費が調整されます。ただし基礎控除が適用されるため、工賃の全額が差し引かれるわけではありません。一方で失業保険は、B型での活動が訓練ではなく就労とみなされると対象外になる場合があります。リハビリ的な就労訓練と判断されれば受給できることもありますが、最終的な判断はハローワークがおこなうため、かならず事前に確認しておきましょう。